研究課題/領域番号 |
22K04615
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
田中 太 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (60401791)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | トンネル火災 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の長大トンネルでは火災抑制のために散水設備が設置されているが、火源への無秩序な直接散水は、煙の地上への早期降下と拡散を引き起こすため、避難者が煙に巻き込まれる危険性がある。本研究では、散水設備を火源に対して直接散水するために使用するのではなく、トンネル内の火災領域を区画化するために活用することを狙っている。散水によって強制降下した煙は火源側に逆流し、火源周辺の酸素濃度を低下させるため、火災規模の低減と窒息消火を実現できる。本研究によって、窒息消火条件及び散水領域を通過した煙の再成層化と安定性を保つ条件を明らかとすることで、新しい概念に基づくトンネル火災安全対策が実現する。
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研究実績の概要 |
2023年度では対称壁を使用せずに火源に対して両側に散水装置が設置された模型トンネルを使用した実験を継続した。この両側散水トンネルでは、散水圧力と散水量を様々に変化させて、窒息消火の実現を試みたが2022年度に引き続き、ほとんど窒息消火を観察することはできなかった。現状の模型トンネルでは散水圧力や散水量を変化させても煙の遮蔽性能を向上させることはできなかった。各種実験を継続していく中で、散水により強制降下した煙流の温度が大気温度に比べてまだ十分に高く、散水領域を通過してくる新鮮空気と十分に混合しないことに気が付いた。その結果、火源周辺の酸素濃度が低下せず、窒息消火に至らない。これは両側散水トンネルではトンネル長が足りないために、火源から散水領域までの距離が短く、煙流の温度が十分に低下する前に散水領域まで到達していたのが原因であった。そこで、トンネル天井下を流れる煙流の天井吸熱による温度低下を模擬するため、トンネル天井に大型のヒートシンクを取り付けて実験を行い、窒息消火を観察することができた。しかし、まだ対策は十分でなく、窒息消火しないことのほうが多い。来年度はトンネルの長さ/高さ比を大きくする必要性がある。そのためにはトンネル自体を延長するか、あるいはスケール比の小さい模型トンネルを製作して、長さ/高さ比を大きくする。 本年度の研究を通して火源から散水領域までの天井長さが窒息消火に関わっていることが明らかになった。これは本研究内容を実際のトンネル防災のために応用する際には重要な事項となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
製作した模型トンネルの長さ/高さ比が足りず、煙降下による窒息消火が十分な頻度で発生しない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に製作した1/9スケール模型トンネルの使用を取りやめて、スケール比を小さくして、トンネルの長さ/高さ比を大きくした模型トンネルを製作する。実験室の制約から模型トンネルの長さを12m以上にはできない。現状の1/9スケールではトンネル長10m、トンネル高さ0.6mで長さ/高さ比は16.7程度であるが、これを1/18スケールとして、長さ12m、トンネル高さ0.3mとする。このとき、長さ/高さ比は40になり、十分な天井長さを確保できる。十分な天井長さを確保した模型トンネルならば、窒息消火を誘導することができるであろう。また、意図的に窒息消火を誘導できるならば、本研究の目的の一つである散水による窒息消火のメカニズムは明らかになったことになる。
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