研究課題/領域番号 |
22K04622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
斉藤 寛泰 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80362284)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 水素ガス爆発 / 爆発圧力緩和 / 減災システム / ポーラス体 / 機能性粒子 / 消炎 / 水素爆発 / 減災 / ガス吸着 |
研究開始時の研究の概要 |
水素ガスの発生,漏えい,滞留の可能性がある設備(特に,気密性の高い空間)では,爆発事故を想定した減災対策も講じておくべきである.これまでの研究において,ポーラス構造体を爆発空間内壁面に設置しておき,爆発時に圧縮を受ける爆発火炎囲の未燃ガスを一旦その内部に隔離するとともに,後方からの伝播火炎を確実に消炎させて燃焼する混合気量を減らすことで,爆発時の空間内圧力上昇をかなり緩和できることが分かっている.本研究では,このシステムのさらなる高性能化を目指し,ポーラス構造体にヒートシンクの機能だけではなく,ガス吸着と表面反応の機能を付加することの効果を検証する.
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研究実績の概要 |
昨年度は,これまで爆発圧力緩和性能を検証するためにポーラス構造体として用いてきたガラスビーズやステンレス球などの剛体粒子ではなく,粒子自体に多くの細孔を有する「活性アルミナボール」を用いた実験を実施し,高い爆発圧力緩和性能を有することを実証した.本年度は,1)昨年度よりも大きな爆発空間に対する活性アルミナボールの爆発圧力緩和性能の確認,2)爆燃波,爆轟波が粒子などのオブスタクル充填空間をどのように進行するかを可視化することができる燃焼波管実験装置と,爆轟波の駆動部を爆発空間に接続して3次元的に広がる爆轟波についての検証が行える実験装置の製作の2点について実施した.
1)では,爆発空間と粒子充填空間の合計体積比を2:1にして,理論混合比の水素-空気混気に対する爆発圧力の緩和状況を調べた.その結果,爆発空間体積を増加させても,粒子空間を設けない場合の最大爆発圧力をおよそ半減させることができることが分かった(ガラスビーズの場合はわずかに減衰するのみであった).このことから,同じ粒子径の粒子であっても,何らかの付加的「機能」が備わった粒子であれば,高い爆発圧力緩和性能を期待できるのではないかと考えるに至った.2)では,充填粒子間の空隙を圧力波や火炎がどのように進行するかを画像として確認するため,石英ガラスの観測部を有する矩形ダクト型の燃焼波管装置,ならびに,3次元的な爆発空間で爆轟が発生した場合の検証を行える実験装置の設計・製作を完了した.
次年度においては,これらの実験装置を用いて,粒子間隙を進行する火炎の可視化,爆轟波に対する効果について,活性アルミナボールのような機能性粒子と剛体粒子の場合の相違を明らかにする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画において設定した課題1から3までについて,順序通りではないが,進めることはできている.また,本課題の主たる目的である,粒子を用いた爆発圧力緩和については,条件は限定的であるが可能であることを実際に確認することができている.ただし,選定する機能性粒子の種類,爆発のスケール,現象の微視的観測と緩和メカニズムについての検討は十分ではない状況であり,最終年度に実施する.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として,以下の各項目を予定している. 1)活性アルミナボール以外にも,爆発圧力を緩和できる機能性粒子があるかどうかの調査とサーモグラフィカメラ等を用いた各粒子の耐熱性能の確認を行う 2)石英ガラスの観測部を有する矩形ダクト型の燃焼波管装置を用いた粒子充填区間を通過する圧力波や伝ぱ火炎を可視化する(爆燃波,爆轟波に対して実施) 3)爆発空間と粒子充填空間の合計体積比を2:1より大きくし,活性アルミナボールの限界性能について調査する.また,爆発空間に爆轟波を直接入射させた場合についても検証実験を実施する.
本課題を推進していくなかで,宇宙ロケット分野の研究者との交流があり,新方式のロケットエンジンにおいても燃焼波を推進系上流部に進行させないための対策が必要であるとのことのことであった.本研究で明らかにすることを試みる様々な粒子の消炎性能は,他分野においても有用な知見となることが期待されるため,折に触れ情報交換をしながら進める予定である.
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