研究課題/領域番号 |
22K04635
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
金 亜伊 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (00633851)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | リアルタイム震度 / 震度予測 / 機械学習 / LSTM / IoT / 防災 / 加速度センサー |
研究開始時の研究の概要 |
緊急地震速報や震度分布情報は, 地震発生時の緊急対応に重要な役割を果たす. 現在これらの空間的な解像度を上げるために様々な情報を用いた補完を用いている. しかしそれらの補完は先験的情報の量や質に大きく依存し, すべての場所で精度良く決定できているわけではない. 以上より, 本研究では安価で取り扱いの簡単なIoT化したMEMS加速度センサと機械学習を用いて, 先験的情報を一切用いず, 波形データのみから対象とする地点のリアルタイム震度の予測を目指す. IoTセンサに蓄積されたデータは次の地震時の予測精度向上のための教師データとなり, 進化し続ける防災減災システムとなることが期待される.
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研究実績の概要 |
今年度は防災科学技術研究所で展開するK-netの既存観測点データと深層学習の一種であるLong-short term memory(LSTM)を用いてリアルタイム震度(Ir)の予測モデルの構築を試みた. 具体的にはある時刻から現在までの時系列データを用いてターゲット観測点の現在のIrを予測するモデル(0秒先モデル)と, ターゲット観測点のIrの将来予測の可能性の検証のために8秒先を予測するモデル(8秒先モデル)を構築した. 8秒先モデルの予測結果を入力観測点の距離で重み付けした時間ごとの加重平均値, PLUM法を模した入力観測点の最大値と比較したところ, MAE, RMSEともに本研究で構築したモデルの予測の精度が高いという結果が得られた. しかしながらIrのおおまかな形状は再現できているものの詳細を見てみると大きな外れ値も散見された. 上記の予測誤差の大きな原因の一つは訓練データ不足と考えられるので, その検証のために模擬データを作成してデータ拡張を試みた. ここでは上記期間のデータのうち欠損しているものを久保, 功刀(2022)によるIrの立ち上がりから最大震度に達するまでの形状の予測式と司, 翠川(1999)及び翠川他(1999)の強震動予測式を組み合わせて合成し, 訓練データとした. その結果、さらに予測誤差が小さくなり、データ拡張による予測精度の向上が認められた. また, 上記訓練データのすべてを模擬データで置き換えたところ, 観測データと混ぜ合わせた時よりもやや予測精度が向上するという結果になった. この結果は訓練に大量の模擬データがあれば観測データの少ない地域でもIrの予測が可能であると言うことを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度―5年度の目標に掲げているのは 1)IoTセンサの設置及びデータの蓄積 本研究では申請者がすでに作成したIoTセンサのシステムを, 申請者所属機関, 設置許可取得済みのボランティア, 公共施設に設置してデータ取得を行う. 2)既存観測点データを用いた事前学習モデルの構築とIoTセンサ設置場所の個別モデルの構築, 検証 であったが、1)についてはセンサの設置、データの取得ともに順調にできている。2)については既存観測点データを用いた事前学習モデルの構築については完了し、現在は学習モデルの最適化を目指し、細かいハイパーパラメータの設定やデータの長さ、タイムウィンドウの区切り方についての微調整を行っている。また、当初の案から方針を変え、模擬データを用いた学習を行ったところ、観測データのみの場合より高い予測精度を得られたことから学習データの無い場所に関しては模擬データを使用することで対応できる可能性を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針 令和5年度の目標としては以下の3点を考えている。 1.学習モデルを最適化する:ハイパーパラメータ、入力データの形式などの調整、観測点数、ターゲットと入力観測点間の距離の最適化等々。 2.シナリオ地震を用いて模擬データを大量生産し、学習データとして使用。構築したモデルのパフォーマンス検証を行う。 3.模擬データを用いて、教師データ(観測データ)の無い場所での予測モデルを構築、検証する。 以上に加えて、これまで通りにIoTセンサの運用、データの取得、保守を目指す。
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