研究課題/領域番号 |
22K04637
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
紅谷 昇平 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (10455553)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 自然災害 / 応援 / 受援 / 災害対策本部 / 自治体 / 人的支援 / 巨大災害 / 現地対策本部 |
研究開始時の研究の概要 |
大規模災害時、被災市町村は、増大する災害対応業務を処理するため、国や都道府県、他自治体からの人的支援を受ける。これらの支援には、それぞれの特徴(強み、弱み)・役割があり、被災市町村にとって最適な支援の組み合わせが存在するはずである。 本研究では、まず国や被災都道府県による被災市町村支援の実態・特徴を明らかにし、自治体間相互支援を含めた最適な支援の形を、時間的に連続したシームレスな支援人員受入モデルとして構築し、その普及・訓練手法を開発する。
|
研究実績の概要 |
2022年度の研究の結果、被災市町村と都道府県との連携、特に都道府県による被災市町村へのサポートの重要性が明らかになった。2023年度には、広島県にて県職員・市町職員を対象に実施した受援体制強化のための図上演習の結果を分析した。この訓練では、県職員と市町職員がミックスしたチームでのディスカッションや、地震後のタイムラインに沿った意思決定の演習が実施された。被災市町の状況の取りまとめ票を用いた訓練では、市町職員に比べて県職員は、状況から自らの役割をイメージし、対処することに困難があったという結果となった。これは県の状況付与が不足していたことも要因の一つであるが、被災市町村の状況から、都道府県が自らに求められる受援体制での役割をイメージできるようになる重要性が分かった。さらに応援自治体も含めて応援・受援のフェーズや方法の認識を共有するため、共通のタイムラインや分野別の調整の仕組み等の開発、提案を行った。 また、2024年1月には令和6年能登半島地震が発生した。石川県庁での国や応援自治体による支援や調整の状況について現地調査を実施すると共に、応援派遣された関係者からの聞き取り調査を行った。その結果、令和6年能登半島地震では、総務省スキームでモデルとされた対口支援型(一つの応援自治体が一つの被災自治体を支援)ではなく、複数自治体が一つの被災自治体を支援する形になっており、応援自治体間の調整や指揮命令系統の確立に困難があったことが明らかになった。また、半島という制約からのロジスティクスの困難さも明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和6年能登半島地震の結果、受援体制に加えて、応援体制の標準化の重要性が明らかとなり、研究の方向性を見直す必要が生じた。さらに能登半島地震の現地調査にエフォートを割いた結果として、2023年度に予定していた調査の一部を次年度に延期することにしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年能登半島地震は、大きなダメージを受けた小規模な被災市町を、全国の複数の応援自治体が支援するというフレームになっており、現地の応援ロジスティクスの不足など、今後の南海トラフ地震等の参考となる教訓が多い。2024年度も引き続いて能登半島地震の知見・教訓を収集、分析する。特に2024年度には、国や被災自治体による能登半島地震の検証報告の公表が見込まれるため、これらの資料を参考にしながら、不足する情報について現地調査を行う。特に、受援体制だけでなく、応援体制に求められる行動原則や平常時での準備(人材育成、応援自治体間での共通認識となるガイドラインの策定、等)について分析を行い、今後の災害に役立つ提案を行う予定である。
|