研究課題/領域番号 |
22K04647
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 京都大学 (2023) 国土技術政策総合研究所 (2022) |
研究代表者 |
赤倉 康寛 京都大学, 経営管理研究部, 特定教授 (70462629)
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研究分担者 |
小野 憲司 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, フェロー (10641235)
杉村 佳寿 国土技術政策総合研究所, 港湾・沿岸海洋研究部, 港湾新技術研究官 (00356049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | サプライチェーン / コンテナ / 航路閉塞 / 沖待ち / 港湾機能障害 / カタストロフィックハザード / グローバル・サプライチェーン / 代替輸送 / 国際海峡 / 国際運河 / 重要港湾 |
研究開始時の研究の概要 |
2021年3月にスエズ運河が閉塞し、さらに、2021年夏以降新型コロナウイルスの影響で中国大連港・塩田港や米国西岸港湾等で深刻な機能停滞が発生し、グローバル・サプライチェーンに大きな影響を与えたが、その経済影響の全体像は把握されていない。本研究は、このような国際海峡・運河・重要港湾等海上輸送のホットスポットの機能停止・停滞による経済影響を精緻に推計する手法を構築し、カタストロフィックハザード発生への対応戦略を立案するものである。
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研究実績の概要 |
2021年3月にスエズ運河が閉塞し、さらに、新型コロナウイルスの影響で中国大連港・塩田港や米国西岸港湾等で深刻な機能停滞によるサプライチェーン・クライシスが発生し、世界貿易・経済に大きな影響を与えたが、その全体像は明らかにはなっていない。本研究は、国際海峡・運河・重要港湾等海上輸送のホットスポットの機能停止・停滞による経済影響を精緻に推計する手法を構築し、カタストロフィックハザード発生への対応戦略を立案するものである。 2023年度は、夏以降の歴史的な渇水によるパナマ運河の通航制限と、12月以降の武装組織フーシによる商船攻撃による紅海・アデン湾の迂回が発生したことから、AISデータ等を活用し、迂回状況や海上輸送の運賃、航空輸送への影響などを速報的に分析した。 また、自動車産業サプライチェーンモデルについては、航空輸送への迂回をモデルに組み込み、サプライチェーン・クライシスにおける国際海上コンテナ輸送の停滞を設定して、我が国の自動車メーカーの欧米での生産に与えた様々な影響の分析を開始した。 さらに、東京湾中央航路の航行障害について、フォールトツリー分析により、未発生の事象による障害発生可能性のシナリオ分析を行うと共に、閉塞時の迂回による輸送コストの増額を推計し、経済社会影響の分析を進めた。 加えて、国際海上コンテナ輸送ネットワークについては、ネットワーク分析により、日本の港湾のネットワークにおける重要度の変化を長期間にわたり分析すると共に、多くの地方港湾が依存する釜山港が機能停止した場合のネットワークの影響度を算定し、韓国の港湾より、日本の港湾が大きな影響を受けることを明らかにし、その影響を軽減するためには、日本の地方港湾と、国際戦略港湾である京浜・阪神港との接続をより強化することが有効であることを発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自動車産業のサプライチェーンモデルは、航空輸送への迂回をモデルに組み込み済みであり、既に、サプライチェーン・クライシスを対象としたシナリオ分析を開始している。 我が国経済へ甚大な影響を与えるホットスポットの混乱として、東京湾中央航路の航行障害を対象として選定し、カタストロフィックハザードとして、その発生可能性をフォールトツリー分析で検討したほか、迂回可能な外貿コンテナ貨物や内貿ユニとロード貨物について、迂回時の輸送コスト増額についても算定済みである。また、具体の各種国内産業への影響についてもヒアリング等により情報を収集し、分析を進めてきており、概ね予定通り進んできている。 一方で、パナマ運河の渇水による通航制限、武装組織フーシによる紅海・アデン湾での商戦攻撃による迂回についても、ホットスポットの混乱事例であることから、上記と平行して分析を進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度については、自動車産業サプライチェーンモデルにより、サプライチェーン・クライシスのシナリオ分析を行い、対応戦略を立案して、その効果を評価する。 また、東京湾中央航路のカタストロフィックハザードによる通航障害について、発生可能性の分析を深め、その対応戦略を立案すると共に、経済影響の評価を行い、対応戦略の効果を評価する。 加えて、パナマ運河の通航制限と紅海・アデン湾の迂回の状況分析、さらには、この3月に、米国ボルチモア港において、コンテナ船が橋脚に衝突して、港湾アクセス航路を横断する橋梁を崩壊させ、コンテナ及び自動車ターミナルへの船舶のアクセスが不可能になっており、これらもホットスポットの大きな混乱事例となることから、分析を進めて行き、上記研究への反映を行う。
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