研究課題/領域番号 |
22K04659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
河本 尋子 常葉大学, 社会環境学部, 教授 (10612484)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 災害過程 / 生活再建 / 生活復興 / 援助要請行動 / 被援助行動 / 社会的ネットワーク / 災害 / 複線径路等至性アプローチ / 被災者 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の災害頻発化により、自助・共助の重要性が広く周知されているが、それを実践し続けた被災者が、数年以上を経て生活上の問題等を抱えるケースがみられ、自助・共助に基づく能動性のみでは必ずしも生活復興につながらない。将来の大規模災害でも、同様の問題が生じ得る。本研究は、災害後の生活復興を長期的な視野に立って捉え、その径路を可視化し、類型群を提案することを目的とする。被災者の自助・共助をその後の生活復興に結び付けていくためには、彼らが何を行い、何を感じ、どのような分岐・選択を経験し、現在に至っているかという具体的径路から、時系列的展開を解明することは重要である。
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研究実績の概要 |
本研究では、大規模災害を経験されたかたがたのその後の長期にわたる生活復興に焦点を当てて、被災者の行動およびその選択の有り様を捉えるとともに、それに伴う心理・心的変容と影響諸要因を明らかにし、それらの時系列的展開と類型の解明を図ることを目指している。生活復興に長期間を要する大規模災害という点で、主に東日本大震災を事例とした調査である。 本研究成果では、援助要請内容の時系列的変化と、社会的ネットワークに着目した援助要請の影響認知を分析・検討した。その結果、震災後の数年間では、地域コミュニティや家屋等に関連する問題の援助要請が多く見られていたが、その後主に生活に関連する多様なニーズに変化していた様相が明らかになった。また、社会的ネットワークをみると、特に家族や親族に対し、自らの援助要請によって迷惑が及ぶとする負の認知が確認される。また、震災から数年を経て、各社会的ネットワークにおいて関係性がネガティブな方向に変化しており、本研究の在宅被災高齢世帯の傾向と考えられる。 他方、生活復興に影響を及ぼすと考えられる地域愛着の視点を取り入れた調査・分析では、地域の災害潜在性および被災可能性を認識しながら、継承意識により居住継続をのぞむ傾向が確認された。ただしこれは地域愛着というよりも、家・土地・田畑に対するものと考えられ、既往研究でみられた地域への安全感とも異なる。なお、地域特性の影響があるが、家・土地・田畑等の維持の方向性によっては、社会的ネットワーク(凝集力・関係性等)を地域に求めない可能性も考え得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本進捗状況の理由としては、前年度までの感染症流行による影響が大きく、訪問によるインタビューを基本とする本研究の調査の特徴から、当初の計画通りに進められていない。各種感染症流行に伴って調査遂行自体が課題となり、遅延につながっている状況である。 今後は、感染症流行の落ち着きをふまえて、引き続き対象者やその生活状況等に十分に配慮しながら、当初の計画を取り戻すべく、引き続きデータ収集・分析をおこなっていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
将来の大規模災害発生を念頭に、高齢化進行社会において、被災者の過半を占めるであろう高齢被災者の生活状況把握は、ニーズに対応した先回りの支援施策を図る上で、今後も研究必須項目と考えている。 当該年度の調査から、対象者・世帯の生活状況等の変化が多くみられ、今後継続して訪問・調査を実施することが難しくなったケースも一部あった。そうした状況変化は、対象者がいる長期間の調査では遭遇が想定されるものでもあるが、他のケースとの統合的な分析をどのように実行するか検討の必要がある。 今後においても、感染症対策と体調管理を十分に行い、調査依頼時に対象者が不安を感じないよう配慮していく。
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