研究課題/領域番号 |
22K04663
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
鳥田 宏行 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究参事 (50414264)
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研究分担者 |
田中 規夫 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80323377)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 津波 / 浸水深 / 流速 / 樹高 / 海岸林 / 津波抵抗性 / ダメージコントロール / 減勢効果 |
研究開始時の研究の概要 |
海岸防災林は、防潮機能を発揮して住宅等の被害を軽減させる。しかしその一方で、海岸林が壊滅的被害を受けた地域では、防潮機能を十分に発揮することができず、幹折れ部位が内陸に流され、被害の拡大(2次被害)を招く危険性がある。2次被害を防ぐためには、森林被害が生じた場合をも想定して森林管理計画を策定することが必要とされる。本研究では、我が国の海岸林造成主要樹種であるクロマツを中心に、森林の成長モデルと流体モデル等を組み合わせ、シミュレーションを実施して森林構造、立木の被害形態(幹折れ、根返り)、津波の規模および津波減勢効果の相互関係を森林の成長段階ごとに検証する。
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研究実績の概要 |
1.津波の浸水深が海岸防災林の被害に及ぼす影響を評価するため、力学モデルを用いて浸水深と枝下高の関係を検討した。モデルで検証した林分は、2011年の東日本大震災津波で被害が発生したクロマツ海岸防災林における調査データを用いた。その結果、津波が立木に及ぼす倒伏モーメントは根元で最大となり、浸水深の増加にともなって増加した。また、その倒伏モーメントは、浸水深が枝下高を超えると急激に増加することが示された。限界流速(立木に被害が発生するときの津波の流速)を求めたところ、限界流速は浸水深の増加に伴って減少し、枝下高を超えると急激に減少することが示された。これらの結果は、津波の浸水深が枝下高を超えると、立木に被害が発生するリスクが増加することを示唆する。 2.海岸防災林の津波に対する減勢効果を検証するために、数値シミュレーションを実施した。樹種は日本の海岸林の主要樹種であるクロマツとし、林帯幅を300mに設定した。また、林分の構成は、海側林分(林帯幅の1/3)を中管理(収量比数0.8-0.9)とし、残る林分を疎管理(収量比数0.6-0.7)とした。また、検証は林分の成長段階毎に行い、海岸林の成長と共に減勢効果が如何に変化するのかも検証した。想定した津波の高さは、5m、10m、15m、20mである。津波高5mに対しては、林帯の減勢効果は大きく、無次元流体力指標に換算して約0.5から0.1まで低下した。津波高10mに対しては、樹高が15mに達するまでは、無次元流体力指標は0.8程度を示し、樹高が15m以上になると減勢効果が増加して、無次元流体力指標は約0.7から0.6になった。津波高が15m以上になると、、無次元流体力指標は0.8から0.85の間で推移し、顕著な減勢効果はみられなかった。これらの結果から、海岸防災林の津波減勢効果は、津波高、成長段階に影響され、常に変化することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
施業方法が異なる林分を組み合わせ、多様なケースについて検討する。
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