研究課題/領域番号 |
22K04666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
河野 義樹 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20634413)
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研究分担者 |
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (10514218)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | Titanium / HCP / Strain localization / Crystal plasticity / DIC / EBSD / Numerical simulation / polycrystal / チタン / 結晶塑性解析 / 不均一変形 / 協調変形 / 延性 |
研究開始時の研究の概要 |
一般的にhcp構造を有する材料は加工性が悪く,それが材料普及の障害の一つとなっている.本研究では,チタンやチタン合金の破壊機構の理解や延性向上の指針を得るため,最も基本的なチタンであるhcp構造を有するαチタンを対象として,その変形下における局所的なひずみの集中およびその緩和機構を,実験及び数値解析の手法を用いて調査する.本研究は,チタンの破壊機構の理解や加工性改善に寄与するだけではなく,金属材料の一般的な変形機構の理解にも繋がる可能性がある.
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研究実績の概要 |
本年度は,i) 研究環境の構築と,多結晶チタンの延性改善に繋がる因子の理解のためのii) 多結晶チタンの局所変形機構の調査を行った.それぞれについて以下に記す. i) 研究環境の構築:北見工大に計算機を新たに導入し,効率的に計算が行えるようになった.次年度は,本環境を用いて,これまで通りの2次元的な解析に加えて,3次元空間における解析も実施し,より現実に則した詳細な計算結果を得る. ii) 局所変形機構の調査:当初予定していた単一すべり状態を多結晶試料を用いて実験的に実現することが困難であったため,複数のすべり系が活動する条件のみで,実験(光原(九州大学))と結晶塑性解析(河野(北見工大))により多結晶αチタンの一軸引張試験を実施し,局所変形機構を調査した.得られた結果は次の通り. (a)実験と数値解析の両方において,変形の初期から負荷方向に対して斜めに帯状の高ひずみ領域(High Strain Band: HSB)が発達し,その分布は変形が進行しても変わらないことを確認した. (b)変形初期のHSBは弾性変形により形成し,その分布は塑性変形により形成するHSBと類似である. (c)弾性変形によって生じたHSBと塑性変形によって生じたHSBの分布の類似性は,α粒の弾性異方性と塑性異方性の類似性に起因する.即ち,単軸応力状態にあるα粒において,弾性変形しやすい結晶方位と,主すべり系である柱面すべり系が活動しやすい結晶方位が類似であることが,HSBの分布の類似性を生む(底面すべり系が主すべり系となる場合には,弾性変形と塑性変形によって生じるHSBの分布は互いに異なる).(d)弾性変形によって生じるHSBの分布は,塑性変形によって生じるHSBの分布に影響を与えない. 当初の予定を変更する必要があるが,次年度は,今年度得られた結果を用いて,局所変形が起こり難い組織因子を調査する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画からやや変更があったが,変性改善の指針となる局所変形機構が明らかとなったため,「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
イメージベース結晶塑性解析,SEMその場観察等を用いて,結晶粒間の力学的相互作用によるひずみの集中と,協調変形によるその緩和機構を明らかにする.ひずみ集中と協調変形には,活動すべり系の数と相関があると推察される.しかし,当初予定していたシングルスリップの条件を実験的に達成することが難しかったため,マルチスリップの条件において,局所変形を抑制する機構を調査する.具体的には,今年度の研究により多結晶αチタンにおける局所変形の発達因子が明らかとなったため,それを抑制するような組織因子を調査する.
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