研究課題/領域番号 |
22K04670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松下 正史 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90432799)
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研究分担者 |
飯久保 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40414594)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | マグネシウム合金 / Ti / 高温高圧 / LPSO / チタン合金 / 高圧合成 / 機械特性 |
研究開始時の研究の概要 |
マグネシウム合金を対象とし、高圧を利用した新規結晶構造と特異なマイクロストラクチャーの作製に取り組む。金属の結晶構造は原子サイズやmixing、enthalpyなどに左右される。ここにに圧力による歪の効果を加えて新規結晶構造の探索を行う。従来、技術的な困難さから、圧力をパラメータとした合金の研究は少ない。本研究によって金属材料の新しい局面を切り開くことに当選する。また、計算科学分野では第一原理計算とクラスター展開法を組み合わせた構造予測を試みる手法が成果を上げている。本研究では計算範囲を高圧にまで広げて実験との差を明らかにする。高圧実験と計算物質科学を組み合わせ、新物質探索の指針獲得を目指す。
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研究実績の概要 |
◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明 Mg85Zn6Y9合金は常圧では18R-type LPSO単相をとるが、3GPa以上で高温高圧処理するとD03/hcpの二相構造となる。本合金の高圧場での凝固組織は、5GPaでラメラ組織、10GPaでコア-シェル型の球晶、15GPaでデンドライトと変化していく。5GPaから10GPaへの変化は、圧力の増加によって拡散が抑制されたため、層状ラメラ組織が発達できずコア部では微細粒状組織が生まれ、その後、コラム状組織が発達したと解釈できる。一方、15GPaで凝固した試料には、デンドライトが発達しており、10GPaで凝固した試料より大きな結晶粒も散見された。拡散係数が10GPaよりも抑えられているにもかかわらず、このような結果生まれたのは、冷却過程にため込まれたひずみエネルギーをdriving forceに粒成長が促進されたと考えられる。これらの結果を論Journal of alloys and compoundsに発表した。 ◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索 常圧下ではMgの沸点がTiの融点よりも低いため、両元素が液相にはなる温度領域は存在しないが、圧力によってMgの沸点を大きく上昇させ、両元素を液相かし、急速凝固させた。昨年度に引き続き、愛媛大学での高温高圧処理実験、ならびにSPring-8のQST占有ビームラインで高温高圧その場XRDを実施したところ、ほぼTiからなるFCC相がTEMで観察できた。さらに分析を進めた結果、FCC相はTi5Si3の相と隣接している。Siは本合金に意図的に添加したものではないく、分析を進めた結果、高圧セルの部材の一部と試料が反応したと推測できた。そこで意図的にSiをTiに添加し高温高圧処理を行ったところ、TiベースのFCC相の形成が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明 愛媛大学の高圧合成装置を用いた合成実験と、研究分担者による九州大学のサーバーを利用した第一原理計算が相補的に進展しており、密接な連携のもと高圧での相分離についての理解が進んでおり、一報の論文が発表された。おおむね順調に進展しているといえる。 ◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索 TiベースのFCC相が発見され、この発見が混入したSiの影響によることを明らかにした。想定外のコンタミネーションに基づく結果であるが、興味深い発見であり順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
◇CANaPsの高圧相の探索 Mg98.6Zn0.4では CANaPs (Cluster-arranged nanoplates) のと呼ばれるLPSO中のZn-Y濃化層と同様のCAL(cluster arranged layer)がα-Mgと交互に積層したミルフィーユ構造が観察されている。本合金ではα-Mg過飽和固溶体からZnとYがhcpの(0001)に析出することでCANaPsが形成される。上記析出機構は鈴木効果によると研究者らは考えているが、本相が高圧下で形成するか否かを明らかにし、LPSO形成、非形成条件について明らかにすることを目指す。 ◇高圧処理によるTi基FCC相の探索 Ti基の新しい相を発見した。Ti合金でのFCC相の作成を各種元素で実施する。
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