研究課題/領域番号 |
22K04673
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
沼倉 宏 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (40189353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 鉄鋼材料 / 元素機能 / 合金状態図 / 拡散 / 析出強化 / 構造材料 / 合金構造 / 原子間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
bcc鉄中の炭素・窒素は侵入型に,遷移金属元素(マイクロアロイ元素)は置換型に固溶する.これらの溶質原子間の相互作用を炭素・窒素の固溶度と拡散ジャンプにおよぼすマイクロアロイ元素の影響から定量的に評価する.親和的相互作用が働く組み合わせにおいてはbcc格子の上で異種の溶質原子が規則配列しつつクラスタリングする.この現象のキネティクスとメカニズムを実験により調べ,ナノクラスタによる新しい高強度鋼の材料設計の科学的基盤を確立する.
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研究実績の概要 |
まずFe-s-N系希薄合金に関して,置換型溶質原子sがTiの場合とNbの場合について溶体化-時効実験をおこなった。Fe-Ti-N合金では,前年度までの等時時効実験の結果から予想された温度範囲における等温時効実験をおこない,N-Ti溶質原子ナノクラスタ形成のキネティクスを定量的に評価するデータが得られた。また,ナノクラスタによる硬度も対応して高まることが確かめられた。Fe-Nb-N系ではこれまで相互作用エネルギーを実験と理論の両面から評価し,N-Tiと同程度の親和的相互作用があることが強く示唆されていたが,今回等時時効実験をおこなって電気抵抗の低下と硬度の上昇が対応して現れることで間接的ではあるが,ナノクラスタあるいはナノ析出物の形成の証拠が得られた。 Fe-s-C系ではC-s溶質原子間の相互作用が合金炭化物の形成傾向とは必ずしも一致せず,C-Crでは親和的相互作用は認められず,C-Vでも同様であることを示唆する実験結果が得られていた。今回C-V,C-NbおよびC-Tiの相互作用エネルギーを炭素固溶度へのs原子の影響を調べ直したところ,C-V相互作用は僅かに親和的,C-NbとC-Ti相互作用はやや強く親和的であることが明らかになった。Fe-V-C,Fe-Ti-C系については希薄Fe-s-C過飽和固溶体からの時効実験をおこなった。Fe-V-C合金では若干の電気抵抗変化は認められたもののクラスタ形成は起こりにくく,いっぽうFe-Ti-C合金ではC-Tiナノクラスタが速やかに成長して微細なナノ析出物となって硬度に寄与することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上の「研究実績の概要」に述べたとおり時効による電気抵抗と硬度の変化を測定する実験は順調に進展しているが,組織観察が計画にやや立ち後れている。
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今後の研究の推進方策 |
東北大学金属材料研究所との共同研究により微細組織観察を重点的におこなう。また,第一原理計算の結果にもとづいて理論的考察を深める。
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