研究課題/領域番号 |
22K04680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
菅原 透 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40420492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マグマ / ガラス / ケイ酸塩メルト / 粘性率 / 熱容量 / 機械学習 / 融体物性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はマグマ,ガラス融体,製錬スラグに関係する酸化物融体の粘性率の変化を包括的に明らかにすることを目的とする.実験データの少ない組成領域について新規に粘性率測定を行い,既報の測定データと組み合わせてニューラルネットワーク解析を行うことで,その温度・組成依存性を明らかにする.さらに熱力学的な関係式を用いて,融体の混合エントロピーの組成変化を計算する.これらの研究を通じて,ケイ酸塩メルトが関わる相平衡計算と熱・物質移動計算の適用範囲を広げ,火山におけるマグマプロセスや高温プロセス産業での各種シミュレーション計算の精度を高めるための基礎を築く.
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研究実績の概要 |
本研究の目的はケイ酸塩メルトの粘性率を機械学習によりモデル化し,計算された粘性率に対するAdam-Gibbs解析により配置エントロピを算出することである.2022年度はデータ前処理と学習方法が予測精度に与える影響の調査とSiO2-B2O3-Na2O系の熱量測定を行った.また,粘性率測定装置の製作も行った. (1) 粘性率データの機械学習:これまでに独自に収集してきたSiO2-Al2O3-MgO-CaO-Na2O系の4335データを検討に用いた.このうち,部分2成分系,3成分系,4成分系のデータを学習とテストに用いた.また5成分すべてを含むデータはテストのみに用いた.学習方法は Adaptive momentum estimation (Adam)によるニューラルネットワーク(NN)解析, Levenberg- Marquardt (LM) 法によるNN解析,Gradient Boosting Decision Tree (GBDT) 解析の3通りを試した.その結果,LM によるNN解析で入力データを正規化したときにRMSE が最も小さくなり,温度内挿においても連続的な計算値が得られることが分かった. (2)メルトの熱量測定:SiO2-B2O3-Na2O系のメルトに対して落下法熱量測定を行い,配置熱容量(Cp(conf))とB2O3の部分モル熱容量(Cp(B2O3))の温度・組成依存性を明らかにした.ガラス転移温度のCp(conf)は4配位ホウ素が多いほど高くなった.また,Cp(B2O3)はSiO2が70mol%以上の組成領域で正の温度依存性を示した.また,SiO2が65oml%以下でB2O3が20mol%以下の組成領域で負の温度依存性を示し,それ以外では温度によらず一定であった. (3) 粘性率測定装置の製作:縦型加熱炉と試料昇降装置を製作した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械学習モデルの基礎的な検討は終了した.熱容量測定についてはCp(B2O3)の温度・組成依存性については解明された.今後Al2O3の影響について,これまでのデータを用いて解析を行う.粘性率装置製作の進捗率は50%である.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 粘性率データベースの拡充と機械学習:B2O3とK2O含有メルトの粘性率測定の文献を収集し,データベースに収録する.また,2022年度研究において明らかにした,正規化したデータを用いたLM によるNN解析を行い,モデルの精度を検証する. (2) B2O3の部分モル熱容量:2022年度の熱容量の測定結果とこれまでのSiO2-B2O3-Al2O3-Na2O系メルトの熱容量測定データを組み合わせて解析し,Cp(B2O3)の温度・組成依存性を定式化する.その結果に基づいて,ホウケイ酸塩メルトの粘性率データに対してAdam-Gibbs解析を試みる. (3) 粘性率測定装置の製作:2022年度までに組み立てた炉体に出力制御器と回転粘度計を取り付け,試験測定を行う.また,データ解析プログラムを作成する. (4) ホウケイ酸メルトの粘性率について,これまでに測定されていない組成範囲に対して(3)の装置を用いてデータを取得する.その結果を(1)のデータベースに組み込みながら機械学習モデルの改良を進める.そして,最終的には機械学習モデルによる粘性率データと(2)の熱容量測定データを組み合わせたAdam-Gibbs解析を行い,任意メルト組成で配置エントロピーを算出することができるようにする.
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