研究課題/領域番号 |
22K04699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岸本 堅剛 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (50234216)
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研究分担者 |
赤井 光治 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (20314825)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 熱電材料 / クラスレート化合物 / 移動度 / 電子構造 / ゲスト原子の原子軌道 / クラスレート / 原子軌道 |
研究開始時の研究の概要 |
クラスレート化合物は,ゲスト-ホスト関係となるカゴ状格子のおかげで低い熱伝導率を持つ。一方,ゲスト原子からの影響を避け,電子がホスト格子上を通れば高い電気伝導率が得られると信じられてきたが,実際は,電子はカゴ格子内も通り,電気伝導率も期待ほど高くない。本研究では,主に,カゴ格子内での電子伝導に着目し,そこの電子構造を制御することで高い電気伝導率を目指す。その際,電子の伝導経路を作るゲスト-ホスト間の混成軌道の形状が鍵となり,中でもゲスト原子の原子軌道が重要な働きを担う。
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研究実績の概要 |
熱電材料としてクラスレート化合物が取り上げられた当初のモデルと違って,Ge系タイプ1クラスレートのキャリア伝導は,ホスト-ホスト間の混成軌道ではなく,ゲスト-ホスト間の混成軌道を利用している。したがって,そのキャリア伝導にはゲスト原子の原子軌道が影響する。従来の熱電クラスレートのゲスト原子はBaであった。代表者らはNaに着目している。Baのd軌道に比べて,Naのs軌道の方がキャリアにとって優良な伝導経路を形成できるのではないかと考えている。高性能材料を開発するために,最近合成したNa8Ga8Ge38を出発点として,その派生物の作製と特性評価を行った。 1.カゴサイズ増減の影響:混晶化物Na8Ga8Ge38-xSixおよびNa8Ga8Ge38-xSnxのサンプル作製を試みた。前者ではx=4まで,後者ではx=0.5まで置換できた。その結果,格子定数は,それぞれ-0.3%と+0.14%だけ変化した。しかし,不純物相が存在したため,キャリア移動度は増加しなかった。 2.ホスト置換原子の変更:ゲスト-ホスト間の混成軌道の形成には,Gaなどのホスト格子上の置換原子の存在が不可欠である。従来のGaからAlあるいはZnに代えたクラスレート化合物を作製した。Na8Al8Ge38では,共有結合半径の違い(Al: 126 pm, Ga: 124 pm, Ge: 121 pm)から混成の度合いが増し,Na8Ga8Ge38に比べて有効質量が微減した。それを受けてキャリア移動度の向上が期待されたが,一方でキャリアに対する合金散乱が微増したため,そうはならなかった。また,フォノン伝導に対する合金散乱が増えたため,格子熱伝導率が下がった。その結果,Na8Al8Ge38は,Na8Ga8Ge38に比べて高い無次元性能指数ZTを示した。Na8Zn4Ge42では,共有結合半径の違い(Zn: 118 pm, Ga: 124 pm)から混成の度合いが減り,Na8Ga8Ge38に比べて有効質量が増加した。その結果,キャリア移動度は減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに実験を進めることができた。その中で,Na8Al8Ge38では高性能化を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに進める。
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