研究課題/領域番号 |
22K04705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
岡崎 宏之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員 (90637886)
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研究分担者 |
村岡 祐治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (10323635)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 固体高分子形燃料電池 / 電極触媒 / 炭素触媒 / 荷電粒子ビーム / 固体高分子形燃料電池(PEFC) |
研究開始時の研究の概要 |
近年、非Pt触媒として注目されているカーボン触媒では、局在電子状態が触媒活性の起源と考えられ、局在電子状態制御により高活性化が期待されるが、局在電子状態を制御する方法がないことが問題である。研究代表者は最近発見されたクエンチングカーボン(Qカーボン)が、構造内の孤立したsp2結合による局在電子状態に注目した。Qカーボンへのイオンビーム照射による局所的な結合状態操作によって局在電子を有する炭素数の大幅な増加とキャリヤドーピングによる局在電子状態のエネルギー位置操作によって活性に最適に制御可能であると着想し、非Pt触媒の創製に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究では、最近発見されたクエンチングカーボン(Qカーボン)のsp3結合ネットワーク内の孤立したsp2結合によって形成される局在電子状態が触媒活性に機能しうる可能性に注目し、量子ビーム照射による局所的にQカーボンの結合状態を操作することで局在電子状態数を増加させることとBドープ量を制御することで触媒活性に最適なエネルギー準位に操作することによって新たな非Pt触媒の創製を目的にしている。 これまではエキシマレーザーを用いたQカーボン作製を行っていたが、ウクライナ侵攻のためにエキシマレーザー使用ができなくなったため、昨年度はQカーボン作製に最適なsp2/sp3結合比を有したDLC薄膜をYAGレーザーで作製する条件をXPS測定によって見出した。本年度は、最適なsp2/sp3結合比を有したDLC薄膜をYAGレーザーで瞬間加熱とクエンチングし、クエンチング後のsp2/sp3結合比をXPS測定により調べQカーボンが作製できているかを調べた。Qカーボン作製に最適なレーザー出力およびDLC膜厚を探索した結果、YAGレーザーによるQカーボン作製する条件を見出せた。この条件探索によってBドープQカーボンも作製可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまではエキシマレーザーを用いてQカーボンの作製を行われていたが、2022年に始まったウクライナ侵攻のためにエキシマレーザー使用ができなくなったため、昨年度はQカーボン作製に最適なsp2/sp3結合比を有したDLC薄膜をYAGレーザーで作製する条件をXPS測定によって見出した。本年度は、Qカーボン作製に最適なsp2/sp3結合比を有したDLC薄膜へのYAGレーザー照射を行い、瞬間加熱とクエンチングした炭素薄膜を作製した。作製された炭素薄膜のXPS測定を行い、sp2/sp3結合比を評価することでQカーボンが作製できているかを調べた。Qカーボン作製に最適なYAGレーザー出力およびDLC膜厚を探索した結果、YAGレーザーによるQカーボン作製する条件を見出せ、BドープQカーボンも作製可能になった。研究はおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
BドープQカーボンを作製できるようになったため、今後はBドープQカーボンの電気化学特性を測定し、触媒性能を調べる。さらにBドープ量を操作したQカーボンの触媒性能を調べて、触媒活性に最適なドープ量を見出し、光電子分光による電子状態測定から活性に最適な局在電子状態の準位がどこにあるのかを明らかにする。加えて、BドープQカーボンへの量子ビーム照射を行い、局所的にsp2結合を増加させ、触媒活性を向上させる予定である。Bドープ量制御による触媒活性に最適な電子状態形成と量子ビーム照射による電子状態数の増加を行うことで非Pt触媒を開発する。
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