研究課題/領域番号 |
22K04707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
末廣 智 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (70736818)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | AlN / レーザー / 焼結 / 窒化アルミニウム |
研究開始時の研究の概要 |
レーザーを用いて窒化アルミニウム(AlN)粒子間に存在する焼結助剤を選択的に発熱させ、高熱伝導率を有するAlN緻密質焼結体の短時間作製プロセスを開発する。AlNは、高い熱伝導率と絶縁性をもつセラミックス材料であり、電子デバイス用の放熱基板材料として有望である。しかし、AlNは難焼結材料であり、緻密焼結体を得るためには酸化物の焼結助剤を用いて電気炉で高温・長時間の焼成が必要である。電気炉を用いない短時間焼結技術は、セラミックスの焼結分野の潮流であり、産業応用の観点からも研究の意義は大きい。
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研究実績の概要 |
窒化アルミニウム(AlN)は、優れた理論熱伝導率320 W/(m・K)とシリコンに近い熱膨張係数、高い絶縁性をもつことから半導体の放熱基板材料として30年以上も研究されている。しかし、AlNは難焼結材料であり、常圧で緻密焼結体を得る手法としては、主に酸化イットリウム(Y2O3)を焼結助剤とした液相焼結が一般的である。しかし高品質なAlN焼結体を得るためには、1900℃以上の高温で数十時間以上も焼成しなければならず、製造コストが高いことが課題である。 一方では近年、国際的な取り組み、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)において省エネルギー化に向けた基盤技術の開発が強く求められている。電気炉を用いた製造工程は多くのエネルギーを必要とする一方で、対象物の加熱に使われているエネルギーは全体の数%程度と言われている。そのため電気炉を使わない省エネルギーなセラミックスの短時間焼結技術の開発が求められている。 本年度では、レーザーを用いたAlNの短時間焼結に資する助剤の開発およびそれを用いたAlNのレーザー焼結を検討した。レーザー焼結用の助剤としては、可視光領域に吸収端のある酸素欠損型のY2O3-δを焼結助剤として提案する。酸素欠損させた黒色のY2O3-δは、真空雰囲気中で炭素(C)とY2O3の混合粉末にレーザー照射し溶融凝固させ、ボールミルで微粉化することで作製した。得られた試料の紫外-可視吸収(UV-bis)測定により、レーザー波長1070nm近傍で15%程度光吸収することが明らかとなった。このY2O3-δを助剤として高純度のAlN粉末に数wt%添加し、窒素雰囲気下でレーザー焼結することでAlN焼結体を作製した。しかし、焼結体密度が75%程度と低く、熱伝導率向上のためには、更なる作製条件を精査する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の記載した項目に沿って研究が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
Y2O3-δの酸素欠損型の光吸収の研究アイデアの方向性は間違っていないと考えている。より酸素欠損するような材料系を検討することで、レーザー吸収挙動が変化し、現状より緻密化が進行すると考えられる。
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