研究課題/領域番号 |
22K04714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松田 伸也 香川大学, 創造工学部, 准教授 (10550460)
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研究分担者 |
大島 一真 九州大学, 工学研究院, 助教 (60734275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 繊維の織り方 / 熱可塑性樹脂 / ジュール熱 / 繊維方向 / 分離率 / CFRP / 電気分解 / インピーダンス / バイポーラ |
研究開始時の研究の概要 |
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のリサイクル手法として熱分解による炭素繊維(CF)回収が主流である.しかし切断破砕した後に熱分解されるため,回収されるCFは短繊維となり,用途が限定される.それに対して,電気処理法はCFの熱損傷を抑制して樹脂を分離できるため,長繊維のCF回収が期待できる.しかしCFと樹脂の分離現象は,科学的かつ定量的に明らかにされていないため,電気処理の優位点が示されていない.本研究では,「どのようにCFと樹脂は分離されるのか?」の命題に対して,バイポーラ電解槽による分離メカニズムを電気インピーダンスモニタリングを併用して実験的および理論的な観点から体系的に解明する.
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研究実績の概要 |
本研究では,電気処理法によりCFRPから樹脂を分離するリサイクル手法に焦点を当てている.「どのようにCFと樹脂は分離されるのか?」の命題に対して,電気インピーダンスモニタリングを併用して実験的および理論的な観点から体系的に解明する.該当年度では,エポキシ樹脂を母材とした一方向(UD)および平織(PW)CFRP積層板ならびに熱可塑性CFRP(CFRTP)を対象として,2極セルおよびバイポーラセルによる電気処理を実施し,電気処理に及ぼす各因子の影響を調査した.さらに電気インピーダンス測定方法を検討した.その概要を以下に示す. 1.二極セルおよびバイポーラセルを用いた電気処理では,UD-CFRPおよびPW-CFRPの分離率は,それぞれのセルで処理した値を比較すると同程度の値を示した.したがって,樹脂の分離率は両電気処理法ともに繊維の織り方に影響しない. 2.二極セルを用いたCFRTPの電気処理では,エポキシ樹脂で製作したPW-CFRPと比較して,2倍ほど高い分離率を示した.電気処理による炭素繊維と樹脂の分離は,樹脂の種類に依存することを示している. 3.CFRTPに対して,低電圧および高電圧下でそれぞれ二極セルを用いた電気処理をそれぞれ実施した.その結果,低電圧下での処理で得た分離率は,高電圧下でのものと比較して約1.3倍の高い値を得た.高電圧下では,樹脂がジュール熱により溶融した様相が観察されたが,低電圧下では,主に樹脂分離の様相のみ観察された.したがって,ジュール熱による樹脂溶融は,逆に分離を阻害する. 4.バイポーラセルによる電気インピーダンス測定において,CFRPや電極の設置方法を検討した.その結果,CFRPに対する電気インピーダンスに対してこれらの影響がほとんどない手法を見出した.今後,本手法に基づき具体的に測定を実施していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,該当年度において「1.電気処理に及ぼす各因子の影響」および「2.電気処理に対するインピーダンスモニタリング」を計画していた.計画1では,昨年度に引き続き,繊維の織り方や樹脂の影響を検討することができた.計画2では,具体的なモニタリングまでは行えてはいないが,手法をおよそ検討できた.以上より,該当年度ではおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では,検討できた電気インピーダンス測定方法に基づき,具体的なモニタリングに取り組む予定である.これを基に,繊維と樹脂の分離メカニズムに迫る.
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