研究課題/領域番号 |
22K04721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
荘司 郁夫 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00323329)
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研究分担者 |
小林 竜也 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00847486)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | パワーデバイス / 複合めっき / 熱応力 / セルロースナノファイバ / 接合 / パワー半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
カーボンニュートラルの達成に向け、電力供給の上流から電力需要の下流までを支えるパワーエレクトロニクス技術の革新が求められ、パワーデバイスに使用される次世代および次々世代パワー半導体素子の接合部には高い耐熱性と放熱性、接合信頼性が求められる。接合材には、銀焼結材や高温鉛フリー合金が検討されているが、接合材の高強度化に伴い被接合電極材であるNi薄膜層に起因する熱衝撃破壊が問題となっている。そこで本研究では、複合めっき法によりセルロースナノファイバ(CNF)をNi薄膜層に添加して柔軟性を付与し、熱応力緩和層として作用させることを目指す。
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研究実績の概要 |
Ni-CNF複合電解膜の特性向上を目的として、TEMPO酸化CNFをNiめっき浴(ワット浴)に添加した浴を用いて、電解膜の硬度に及ぼすCNF添加量、電流密度およびかく拌速度の影響を調査した。その結果、CNF無添加の場合に比べ2倍以上の硬度が得られる条件を見出した。また、得られた電解膜の残留応力測定を実施したところ、CNFの添加により引張残留応力が著しく増加する傾向が確認された。 単体では共析が困難な化学的未修飾セルロースに対して、Au-Pdのスパッタリング処理をすることで、電解膜中への共析の促進に有効であることを明らかにした。しかし、TEMPO酸化CNFほどの共析率は得られなかった。 無電解法によるNi-CNF複合電解膜の作製条件を調査するために、分散するCN粒子として、ACC法CNF、TEMPO酸化CNFおよびCMC(カルボキシメチルセルロース)粉体を準備した。含有量5g/Lにて電解膜を作製したところ、TEMPO酸化CNFの添加が最も複合量が多くなることを確認した。そこで、TEMPO酸化CNFに着目して、添加量および界面活性剤としてSDS(ラウリル硫酸ナトリウム)を添加した際の影響を調査した。その結果、添加量4g/Lの時に複合化されるCNFの量が多くなり、硬度も無添加の時に比べ43%向上することを明らかにした。また、SDSの添加もCNFの複合化には有効となることを明らかにした。生成した電解膜に対する鉛フリーはんだのぬれ性を評価したところ、CNFの添加はぬれ性を低下させることを確認した。 メタルコアはんだクラッドシートとして、電気めっき法を用いたAl粒子含有Znめっき膜をNi/AuめっきCu板上に作製し、接合体を作製し接合強度を評価した。接合圧力を20MPa以上とすることで、20MPa以上の接合強度が得られる条件を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の成果を発展させて、TEMPO酸化CNFを用いたNi-CNF複合電解膜を電解法および無電解法で生成する際の適正条件を調査し、複合の効果を硬さ上昇で検証することができた。また、電解法で作製した電解膜の残留応力に対するCNF添加の影響、鉛フリーはんだとのぬれ性に及ぼすCNF添加の影響についても傾向を明らかにした。 メタルコアはんだクラッドシートについても、接合体を作製して、せん断強度が20MPa以上となる接合条件を明らかにした。 Ag焼結接合体については、別途評価中であるが、新規材料にて興味深い現象が発見されたため、Agにこだわらずに研究を展開することも検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、TEMPO酸化CNFを用いたNi-CNF複合電解膜を研究対象として、鉛フリーはんだとの界面反応および高温放置環境下における接合信頼性を調査し、熱応力の緩和に有効な複合電解膜を探索する。 提案書で計画したAgナノ粒子を用いた焼結接合については、より低温での焼結を可能とする新規素材を用いた焼結接合の開発に取り組む。 メタルコアはんだクラッドシートについては、継続して研究を行い、接合材となりうるシートまたは電解膜の作製を目指す。
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