研究課題/領域番号 |
22K04722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
森長 久豊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20396584)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | セルロースナノファイバー / バイオベースポリウレタン / リモネン / 発泡体 |
研究開始時の研究の概要 |
ポリウレタン発泡体は、少量のポリマーで大きな体積を生み出せる軽量でエコフレンドリーな材料である。柑橘類精油由来ポリオールを原料として合成するバイオベースポリウレタン発泡体において、セルロースナノファイバーを補強材・分散剤・乳化剤として添加して強化を試みる。本研究では、添加するセルロースナノファイバーの形状や官能基を最適化することで発泡体中の空隙孔径をナノサイズまで小さくし、高強度バイオベースポリウレタン発泡体の開発を目的とする。その方法として、径や繊維長、表面官能基が異なるセルロースナノファイバーを用いることで、発泡体中の空隙孔径や機械的強度への影響を系統的に明らかにすることで解決する。
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研究実績の概要 |
当初の予定にあったリモネングリコールを原料としたバイオベースポリウレタン発泡体の合成は達成したものの、セルロースナノファイバー(CNF)を複合すると発泡体の形状に不具合が生じた。そこで、植物由来成分としてひまし油に変更し、CNFの形状が及ぼす発泡体形成時の流動性や発泡性への影響について検討を行った。CNFは、形状の異なる3種類を用いて比較検討した。①平均繊維径10~50nmで重合度が200のもの、②平均繊維径10~50nmで重合度が650のもの、③平均繊維径が数μmで重合度が1300のものである。 ひまし油とポリプロピレンオキシドを質量割合で50:50としたものをポリオールとして用い、植物由来発泡体を合成した。これに上記のCNF①~③を加えて発泡体の発泡径、発泡密度、圧縮応力、圧縮弾性率を測定した。発泡径においては、いずれの系においてもCNFの添加濃度の増加とともに、発泡径の減少を確認した。しかしながら、CNFの添加濃度と発泡密度には明確な相関はなく、発泡径と発泡密度にも相関はなかった。CNFの添加濃度の増加に従って、圧縮応力や圧縮弾性率は増加する傾向だった。CNF②を5%になるように加えると、無添加系に比べて約1.8倍の圧縮応力、約1.9倍の圧縮弾性率であった。一方、CNF①の添加において、CNF添加濃度の増加とともに圧縮応力や圧縮弾性率はやや緩やかに増加した。CNF③においては、無添加系に比べて圧縮応力や圧縮弾性率は低下した。また、CNFの繊維長は発泡体の発泡性(発泡密度や発泡径)に影響しないが、発泡体の強度や弾性率の向上に寄与することがわかった。しかしながら、繊維長が長くても繊維径が大きければ、発泡体の強度や弾性率の向上は期待できないことも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定にあった原料をリモネングリコールからひまし油へ変更したが、形状の異なるセルロースナノファイバーを用いた添加効果について明らかにできた。したがって、今年度の目標は達成できているため、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、現在得られているひまし油を原料としたバイオベースポリウレタン発泡体において、セルロースナノファイバーの官能基が及ぼす発泡体形成時の流動性や発泡性への影響について検討を行う。
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