研究課題/領域番号 |
22K04723
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤澤 一範 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 助教(特定雇用) (00724634)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | ナノカーボン / グラフェンナノリボン / 炭素 / エッジ / フィラー |
研究開始時の研究の概要 |
グラフェンナノリボン(GNR)は化学的二面性「連続したグラファイト構造」と「化学的に活性な広いエッジ面」を持ち,エッジ面の化学結合を通じた他材料との強い相互作用が期待できる新奇フィラーである.しかしGNRの合成では高純度化が困難であった.よって本研究では可動型触媒層化学気相成長(CVD)法を用いてGNR成長を担う触媒のサイズ・形状とGNR構造の関連性を調べ「選択合成」を試みると共にナノ構造の違いを利用した「分離精製」により高純度化を図る.さらにGNRの「エッジ再活性化」手法を確立し,最終的に高機能フィラーとして利用可能なGNRの実現を目的とする.
|
研究実績の概要 |
本年度はグラフェンナノリボン(GNR)の選択合成とエッジ再活性化のタスクに注力をした. GNRの選択合成では,炭素源の組成を変化させてGNR合成を試みた.反応場に導入する酸素/炭素比の増加に伴い,合成触媒の組成に変化が生じることが透過型電子顕微鏡による分析から明らかとなった.また酸素の増加に伴ってGNRやCNTを成長させていない触媒粒子の割合が多くなることも明らかとなった.これより触媒の組成以外に導入された炭素源の熱分解度合いによっても合成物が変化することが確認できた.現在,触媒を特定位置に固定したGNR合成については,合成条件の最適化を進めている.これまでGNR合成量の把握が困難であったが,電子線回折像にグラファイト層間および鉄触媒に由来する回折スポットまたはリングが生じることから,これらの比を採用することによってGNR合成量の評価が可能となった. GNRのエッジ再活性化のタスクでは,再活性化の準備として不活性化処理の条件模索を行った.具体的にはグラフェンナノリボン(GNR)に対して2000℃までの熱処理を実施することによりGNRエッジにおける構造変化を調べた.エッジの一部は1200℃までにおいてループを形成していることが明らかとなったが,同一のGNRにおいてもエッジが閉じている部分もあれば開いている部分も存在した.しかしラマン分光分析を用いて炭素材料の結晶性の評価を行うと,欠陥の存在によって生じるDバンド強度が1800℃にて最小値を示したため,1800℃付近においてエッジの不活性化が完了したことが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
触媒固定状態におけるGNR合成条件の最適化において想定より時間がかかっている.分離精製やエッジの再活性化については問題なく進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
グラフェンナノリボン(GNR)の合成理解については,炭素源の変化に伴う触媒のサイズおよび構造の変化を調べ,どちらがGNRの合成に寄与しているのかを明らかにする. またGNRと同時に合成されてしまうCNTの分離のため,GNR/CNTの混合物とアルカリ金属を反応させ,各種有機溶媒へのGNRおよびCNTの溶解性を調べる.GNRとCNTが大きく異なる溶媒を特定することにより合成後分離プロセスを確立する. 個々のGNRにおけるエッジは合成直後においても開閉の度合いが異なる.つまり部分的に開いている部分もあれば閉じている部分も存在するため,エッジが閉じる温度を正確に把握するためには単一のGNRに注目する必要がある.そこで炭素のみで構成された円盤状のグリッドにGNR試料を固定して,同一のGNRの構造を熱処理温度を変化させて追跡することにより,エッジが閉じる温度を明らかにする.
|