研究課題/領域番号 |
22K04732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
阿布 里提 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70565374)
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研究分担者 |
官 国清 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (90573618)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SOFC / 電極 / アノード / 炭素析出 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イオン・電子混合導電性を持つ上、部分元素置換及び触媒とのシナジー効果も併せ持ち、高温のみならず中低温域においても優れた炭素析出抑制性及び耐硫黄被毒性が期待できるペロブスカイト型酸化物対称電極の開発と、一体共焼結プロセスを活かした低コストSOFCセル製造技術の開発を同時に行うことによって、SOFCの実用化に資する革新的技術の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、その作動温度が約1000℃と高く、また、製造過程においても1200~1400℃の高温にさらされるので、温度変化に対する構成材料間の熱膨張差、電極焼結による性能劣化を伴うため、高温での安定性等に課題がある。また、炭化水素系燃料を含む多様な燃料を直接利用可能というSOFCの特徴を活かすためにも、炭化水素燃料の高温熱分解による炭素析出問題を解決する必要がある。低温化によってこれら課題を総合的に解決することは、SOFCの実用化に資する画期的な技術となる。 本研究では、SOFCの電極に適用でき、かつイオン・電子混合導電性を持つ上、高温のみならず中温においても優れた機能が期待できるペロブスカイト型酸化物アノード開発のため、研究室のこれまでの研究成果に基づき、①Pr0.4Sr0.6Co0.9-xFexNb0.1O3-δ(PSCFxN)、②Pr0.4Sr0.6 (Co0.3Fe0.6)1-xNbxO3-δ(PSCFNx)、③(Ce0.1Sr0.9)xCo0.3Fe0.6Nb0.1O3-δ((CS)xCFN)の三種類の材料を重点的に取り上げ、ペロブスカイト型酸化物の性質を改良する有力な部分置換法を用いて機能と構造をナノレベルで制御し、その微細構造の観察と分析、温度依存性の解明と構造改良を通じて最適化の検討を行った。また、安価で量産可能な技術であるプレス形成とコーティング及び一体共焼結製造プロセスによって、電解質支持型高機能対称電極を創出した上で、SOFCアノード材料としての仕様や導電率、電気化学特性の他、炭化水素燃料を供給した場合の炭素析出するメカニズムやアノード特性等を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)PSCFxN(x=0.6)アノードを用いた場合では、900℃において0.547W/cm2の高い特性が得られ、それ以降、Feの添加量増加に伴い触媒活性は低下することを示した。PSCFxN(x=0.6)アノードの分極特性を調べた結果として、高周波側分極(Rh)は低周波側分極(Rl)よりかなり小さく、Fe置換に伴い結晶中に導入される酸素空孔を多量に含むため、高い酸素イオン導電性を示すことを明らかにした。 (2)PSCFNxアノードを用いたセルでは、900℃において0.731W/cm2の高い特性が得られることを示した。 (3)(CS)xCFN(x=1)カソードを用いたセルでは、900℃において最大0.567W/cm2が得られること、ならびに導電率の最大値は(CS)xCFN(x=0.9)で得られることを示した。 これらの研究開発によって得られた成果は第63回電池討論会と化学工学会第88年会での国際シンポジウムにて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通りに進捗しており、今後も当初の計画通りに取り組む予定である。
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