研究課題/領域番号 |
22K04734
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 龍興 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70417103)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 水素吸蔵合金 / La系 / 水素吸蔵速度 / リチウム系 / マグネシウム系 / ニッケル系 / 水素エネルギー / 水素タンク / ニッケル水素電池 |
研究開始時の研究の概要 |
安全でかつ水素吸蔵・放出特性が高く高容量を示す新規水素吸蔵合金の研究開発を早期に開始することは、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標をクリアするためのグリーンイノベーションに繋がっていくと考えられる。Mg-Li-Ni系合金における組成及び結晶構造と水素吸蔵特性との関係を解明することは、今後の水素吸蔵合金の研究における大きな指針を示すことになる。またこの研究アプローチを用いることにより、高い水素吸蔵・放出特性を有するC15ラーベス相の構造を発現させるための指針を明確にし、高容量化・高出力化に向けた新規Mg-Li-Ni系水素吸蔵合金探索へと展開するための要因を決定していく。
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研究実績の概要 |
水素を安全にかつ大量に貯蔵することができる水素吸蔵合金は高エネルギー密度な貯蔵媒体であり、近年特に定置型の大容量・高密度な水素を用いたエネルギー貯蔵方法として大きく期待されている。現在、水素吸蔵合金の高容量化及び高入出力化に向けて、様々な合金系が精力的に研究されている。現時点では室温付近において高容量の水素を大量にかつ高速に吸蔵・放出可能な系はランタン(La)-マグネシウム(Mg)-ニッケル(Ni)系合金が現実的でかつ最高値のデータを有している。本合金は1996年に申請者により発見され、現在ニッケル水素電池の負極材料として幅広く実用化されている。一方で、モバイル用途、特に定置用向けの水素充填装置として鑑みた場合には、重量当たりの水素吸蔵量が低いのが問題点である。そこで高容量化に向けてマグネシウム(Mg)-リチウム(Li)-ニッケル(Ni)系に着目し、更にLaサイトをLiで置換できるかどうかの実験及び検証を実施した。マグネシウムとリチウムの比を変化させてニッケル量を調整した結果、新規の化学量論組成を有する合金が発現しており、その結晶構造解析を実施した。不活性雰囲気下における新たなX線回折測定を開発し、その結果から、主となるバルクの構造とは明らかに異なる構造が局所的に発現しており、更にその構造解析から単位格子内におけるマグネシウム及びリチウムの位置の変化に依存していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点においても結晶構造の詳細な確定には至っていないが、今年度ではより詳細な解析と発現機構解明への研究へとつなげていく。また本合金系における水素吸蔵・放出特性の評価についてはLiの活性が高く非常に困難であることから、不活性雰囲気下における詳細な評価方法を探索中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、各元素(マグネシウム、リチウム、ニッケル)と水素との結合間距離、電子状態からの結合性情報を統合的に解析して、新規構造及びその発現機構も解明する。また新規構造を発現させるための合成条件を明確にして、高容量化・高出力化に向けた新規Mg-Li-Ni系水素吸蔵合金探索へと展開するための制御因子を検討する。
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