研究課題/領域番号 |
22K04735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
寺田 芳弘 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40250485)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マグネシウム合金 / 高温強度 / チューリング組織 / 高分解能電子顕微鏡 / 異相界面 / 転位 / クリープ / ラメラ組織 / 透過型電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
『異相界面強化』という新規な高温材料強化機構を最大限に活用することにより,高効率熱機関用の難燃性超高強度耐熱マグネシウム合金を開発することが本研究の最終目標である。自動車熱機関周辺部への適用を念頭に,入手容易な汎用型元素のみでの合金開発を目指す。劇的な車体軽量化による,二酸化炭素排出削減を意図した高度環境保全型の研究である。合金開発にあたり,高温変形特性調査,転位モビリティ解析,組織安定性評価を実施する。
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研究実績の概要 |
ニアフルラメラ組織を有する二元系Mg-14Ca(mass%)亜共晶合金について,温度473-523 K,応力30-50 MPaにてクリープ試験を行い,クリープパラメータおよびクリープ中の組織変化を調査することにより,クリープ変形機構を明らかにした。具体的には,以下の内容が明らかとなった。(1) 最小クリープ速度の応力指数nは,調査を行ったいずれの温度においても7となる。また,クリープの活性化エネルギーは146 kJ/molとなる。(2) クリープ中に,コロニー境界近傍において粗大なラメラ組織が生成する。粗大ラメラは,クリープ変形によりコロニー境界に導入されたひずみエネルギー,および,微細ラメラにおける界面エネルギー,を駆動力として生じる回復組織であると理解される。(3) 通常型の遷移クリープを示すこと,クリープの応力指数nが7となること,および,クリープの活性化エネルギーQcがMgの自己拡散の活性化エネルギーに近いことから,本合金におけるクリープ変形は転位の上昇運動に律速するものと推論される。(4) 上述の研究結果について,日本語および英語の国際学術論文に投稿し,両者とも掲載に至った。
以上の結果を基盤として,次なる研究プロセスとして,二元系Mg-14Ca(mass%)亜共晶合金のクリープ強度に及ぼすAl添加の影響についての研究に取りかかった。3mass%のAlを添加したMg-14Ca-3Al(mass%)亜共晶合金に対して研究を進めるために,当該合金の作製を行い,クリープ試験片への加工を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二元系Mg-14Ca(mass%)亜共晶合金について実験的に得られたデータを精査し,学術論文に投稿し掲載に至った。本研究の遂行にあたり必要となる機器類である,クリープ試験装置,走査型電子顕微鏡なども,順調に稼働しており,当初予定していた調査研究項目の研究課題を遂行した。このため,全体として研究はおおむね順調に進捗しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から,ニアフルラメラ組織を有する二元系Mg-14Ca(mass%)亜共晶合金におけるクリープ変形が,転位の上昇運動に律速することが明らかとなった。また,クリープ中に形成する粗大ラメラ組織が,回復組織とみなせることを明らかにした。この結果を確固たる基礎として,当初の計画どおりに,Alを添加した固溶強化合金について,クリープパラメータを調査すると共に,回復組織である粗大ラメラの形成の可否についても実験的に調査を進める。
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