研究課題/領域番号 |
22K04741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 公立千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
高田 知哉 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (00342444)
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研究分担者 |
阿部 薫明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40374566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | マイクロアクチュエータ / 温度応答性ハイドロゲル / 赤外線 / ナノカーボン / 温度応答性ポリマー / アクチュエータ / 複合材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、温度応答性ポリマーとナノカーボンを複合化し、赤外線照射のオン・オフにより駆動するマイクロアクチュエータ材料を創製することを目的とする。特に、多くの温度応答性ポリマーの駆動で必要となる材料内外間の水分の移動を要さない(または液体の水ではなく空気中の水分で駆動可能な)材料を探索するとともに、応答速度を向上させるための方法を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度には、昨年度に引き続き、ポリ(N-イソプロピル)アクリルアミド(PNIPAM)とポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)の積層ハイドロゲルに多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を添加した複合材料を試料として、外部熱源による加熱および赤外線照射による自己発熱に伴う屈曲変形特性をより詳細に調べた。特に、変形の大小および速度に対するMWCNT添加率の影響について調べた。 架橋剤を含むNIPAM水溶液に種々の量のMWCNT分散液を添加して重合し、MWCNT-PNIPAM層を作製した。続いて、PEGDAを重合・積層することで積層ハイドロゲルを作製した。このゲルを水に所定時間浸漬して室温での最大膨潤率としたのち、ヒータによる加熱や赤外線照射を行い、顕微鏡での画像観察により屈曲による変位および変形速度を調べた。変形速度は、変形前後の角度の変化量から求めた。 外部熱源での加熱での変形速度の観察の結果、低MWCNT添加率の積層ゲルでは添加率とともに温度応答変形が速くなるのに対し、MWCNT添加率が高くなると速度が低下した。また、最大膨潤率も同様の傾向であった。これらのことから、MWCNTの熱伝導性・光熱変換特性に基づき積層ゲルの温度応答変形が生じる一方で、MWCNT添加率が高くなると積層ゲルの力学的特性が変化し、膨潤・脱水に伴う変形に対しての抵抗が生じることで応答速度が低下するものと推測された。赤外線照射による温度応答変形でも同様の傾向を確認したが、変形速度は外部加熱の場合に比べてはるかに小さかった。材料の光熱変換で生じた熱が周囲の水に移動するため、水を温度上昇させた場合に比べて変形が遅かったものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロアクチュエータ材料のの候補である積層ハイドロゲルの温度応答性に対するMWCNT添加量依存性について、現象の理解及び材料の設計の手がかりとなる知見が得られた。また、次年度に実施する見込みの空気中での温度応答変形の観察のための準備に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では、MWCNT添加PNIPAM/PEGDA積層ハイドロゲルの温度応答変形の観察およびMWCNT添加率依存性の検討をすることができた。これまでは観察用の試料としてシート状の材料を作製し実験を進めていたが、今後はマイクロアクチュエータとしての応用を想定し、小直径の円形などに成型した材料を作製して変形の観察を行う。また、現状では水中での膨潤・脱水に伴う変形を観察しているが、マイクロアクチュエータとして使用するには空気中の水分による変形が可能かどうか、可能であればその条件を明らかにする必要があるため、湿度を制御した空気中での赤外線応答変形を観察するための装置を製作し、光熱変換による変形の観察を行う。
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