研究課題/領域番号 |
22K04768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宮崎 浩一 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (60300646)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | レーザー / ビーム品質 / ラマン散乱 / ビームプロファイル |
研究開始時の研究の概要 |
高出力のレーザー光による材料の溶接や切断等のレーザー加工においては、レーザービーム品質が加工した材料の品質を大きく左右する。従来のレーザー光を光検出器に入射してビーム品質を測定する方法では、検出器が破損する可能性がある。また最近用いられている大気中の分子によるレイリー散乱光を利用した測定法では、レーザー加工時に発生する埃による散乱や迷光等のレーザー光と同波長の光によるノイズの影響の問題がある。本研究では、大気中の分子によるラマン散乱というレーザー光と異なる波長の光散乱現象を利用することでこれらの問題を解決し、レーザービーム品質測定システムの構築、測定方法の確立をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、レーザー加工等に用いられる高光強度レーザー光のレンズ集光時のビーム断面光強度分布(ビームプロファイル)を、大気中の気体分子によるラマン散乱現象を利用して測定する方法を確立することである。本測定では、ビームに垂直な平面内で散乱光観測用カメラを回転して様々な位置から観測した散乱光投影データを、CT法によりビーム断面の光強度分布に変換する。 令和5年度の研究においては、まず、ラマン散乱よりも光強度の大きいレイリー散乱で光学系および測定システムを構築し、得られた散乱光投影データをCT法によりビーム断面光強度分布を求めて、従来の方法で測定した結果と比較し、測定結果の妥当性を検討すべく研究を進めた。同時に、ラマン散乱を測定するための光増幅を行う、イメージインテンシファイアを用いた光検出装置の準備を進めた。 測定システムの構築に関しては、散乱光光学系の設計手法を用い、レイリー散乱による測定システムを設計・構築した。散乱光信号を測定した。測定する上で問題となるのが、カメラのレンズの焦点と回転軸の中心が一致していないと測定精度が低下する可能性があること、レーザー光が偏光している場合には、偏光方向に近い観測方向では散乱光が弱くなるため、精度の高い測定が不可能となり、また測定できても偏光の影響を補正する必要があること、である。そこで、点発光ダイオードを用いて回転軸とカメラの焦点を一致させる方法を考え、偏光特性を補正するとともに信号が小さい観測方向のデータを省いてもCT法を適用できるような計算プログラムを作成し、ビームプロファイルを求めることができた。ラマン散乱光測定のためのイメージインテンシファイアを用いた光検出装置に関しては、ゲート回路用パルス電源を設計した。マルクス回路を利用したパルス電源を設計し製作したが、電圧値や波形に問題があるため、その改善策や他の回路の利用を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
散乱光測定のための光学系の設計法を明らかにし、ラマン散乱よりも信号の大きなレイリー散乱を利用したレーザービームプロファイルの測定システムを、MATLABやLabVIEWの計測制御プログラムも利用して構築した。その中で、散乱光観測用カメラをレーザービームに垂直な平面で回転してレーザー光投影データを得る場合に、焦点が回転軸に一致していないと測定精度が悪くなるため、点発光LEDを利用してそれらを一致させることに成功した。また、レーザー光が偏光していて散乱光信号強度が弱くなる方向のデータを省いたレーザー投影データでも、CT法でビーム断面の光強度分布に変換できる計算プログラムを作成した。その結果、レイリー散乱を利用したレーザービームプロファイルの測定システムが完成した。 本測定法の測定精度を確認するために、従来法で測定した結果と比較する必要がある。そこで、レーザー光をCCDに入射して測定するビームプロファイラを購入し、測定の準備を進めている。また、微弱なラマン散乱光を測定するための使用機器について再検討する必要がわかった。ラマン散乱光測定のためのイメージインテンシファイアを用いた光検出装置に関しては、ゲート回路用パルス電源を設計した。マルクス回路を利用したパルス電源を設計し製作したが、電圧値や波形に問題があるため、その改善策や他の回路の利用を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
レイリー散乱を利用したレーザービームプロファイルの測定システムが完成した。ただし、本測定法の測定精度を確認する必要があり、令和5年度に購入したーザー光をCCDに入射して測定するビームプロファイラで測定を行い、測定精度を評価する。その後、ラマン散乱を利用したレーザービームプロファイルの測定ができるように、測定波長に合わせて光学部品を購入し、またイメージインテンシファイアを用いた光検出装置のゲート回路用パルス電源を完成してラマン散乱信号を観測し、測定システムを構築する。そして、レイリー散乱を利用した方法と同様に測定精度を評価する。
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