研究課題/領域番号 |
22K04774
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
畠山 賢彦 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30375109)
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研究分担者 |
佐藤 紘一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30378971)
安永 和史 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 研究開発部, 主任研究員 (20404064)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | マグネシウム合金 / 腐食 |
研究開始時の研究の概要 |
工業的に多く用いられるMg-Al-X合金では、Al添加により容易に析出するMg17Al12β相が腐食を抑制するのか、マトリックスとのガルバニック腐食により促進するのか議論になっている。また、マトリックスの中でもβ相周囲のAl濃度が10wt%程度と高いAl-rich-α相が腐食の起点となることが知られているが、作製が困難なため未だ十分な腐食特性についての知見が得られていない。本研究では、様々なMg-Al-X合金のAl-rich-α相などの単相試料を急冷凝固法で作製し、その電気化学的性質を明らかにすることで、腐食機構の解明と新たな高耐食性Mg-Al-X合金の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、Al-rich-α相単相の腐食特性とα相のAl濃度依存性を包括的に解明する。水酸化皮膜Mg(OH)2が各相の表面でどのような保護性を持つのかを解明する。これらを基にAl-rich-α相、β相の形態最適化を行う(Mg-Al-X合金の化学組成の調整)ことを目的として計画している。今年度は、前年度に行ったMg-Al-X合金(X=Ag, Zn, Pb, Sn)の分極試験や組織観察結果で得られたデータを基に、β(Mg17Al12) 相の安定性をを調べる目的と、その形態を制御する手段としての熱処理条件を検討した。前者は第一原理計算によるシミュレーションで得られたβ相の安定性評価の結果との比較のデータとしても用いる。500 K付近での熱処理温度と時間を数条件からスクリーニングし、一部の試料でβ相を完全に溶解させることに成功した。 また、表面の水酸化皮膜Mg(OH)2の厚さについて前年度に得られたMg-Al二元系合金の電気化学インピーダンス試験の結果を基に、分光エリプソメトリーによる皮膜厚さの直接観察を試みた。皮膜厚さは分光エリプソメトリーとインピーダンス試験の間で一部定性的に一致したが、一致しないAl濃度の試料も認められたことから、全ての皮膜が同じ構造でないことや、皮膜の成長速度、平衡状態での厚さが違う可能性が示唆された。従って、マグネシウム合金の複雑な耐食性の変化は各相上の皮膜の構造や厚さの複雑な違いによって生じると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mg-Al-X合金(X=Ag, Zn, Pb, Sn)について、試料を作製し、β相とAl-rich α相を制御出来る熱処理条件を見出した。 その熱処理条件で熱処理しβ相などの体積割合を調整した試料の電気化学試験結果を取得済みであり、その解析から耐食性を向上する添加元素の探索とその組織制御についてほぼ完了している。 表面の水酸化皮膜Mg(OH)2の厚さや構造の調査についてはMg-Al系で分光エリプソメトリーとインピーダンス測定を併用することで測定手法は確立出来たが水中セル中での分光エリプソメトリーが実施出来る施設がないため十分な実験の実施が難しい。
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今後の研究の推進方策 |
Mg-Al-X合金(X=Ag, Zn, Pb, Sn)のうち、SnとPb添加合金については、β相を溶解させる熱処理条件を見出したため、それによりβ相を全固溶させたり体積率を調整して金属組織の最適化を図る予定である。 α相、Al-rih α相、β相それぞれの皮膜は構造や厚さが異なる可能性が示唆されたことから、それらの同定のため電気化学インピーダンス試験と分光エリプソメトリーを相補的に用いて皮膜厚さの定量を行う他、その皮膜の構造をXPSなどで分析して皮膜の厚さや構造と耐食性の関係を解明する予定である。
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