研究課題/領域番号 |
22K04792
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
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研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
新井 宏忠 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70770965)
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研究分担者 |
森 大祐 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50451539)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 介在物 / 界面捕捉 / 液液界面 / 速度定数 / 金属素材清浄化 |
研究開始時の研究の概要 |
金属素材中の非金属外材物は最終製品品質に悪影響を及ぼすため、溶融金属中から除去するための技術が開発されている。そのためには介在物の動力学的挙動の理解が必須であり、これらをモデル化してプロセスシミュレーションに適用し、新プロセスの開発や操業条件の最適化が図られている。しかしながら、非金属介在物の異相界面(溶融金属/スラグ、溶融金属/耐火物界面など)における速度論的介在物挙動はほとんど進んでおらず、フィッティングパラメータとして扱われているのが現状である。そこで本研究は、介在物の異相界面における介在物捕捉に関する速度論的挙動を解明し、プロセスシミュレータの高度化に資する理論モデル構築を目指す。
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研究実績の概要 |
金属素材の高清浄化は最終製品の品質に直結するため古くから取り組まれてきた課題であり、そのために溶融金属中に懸濁している非金属粒子(介在物)を徹底的に除去する取り組みがいまなお続いている。その基礎となるのが介在物粒子の動力学的挙動の現象理解であり、これら諸現象を適切にモデル化してシミュレーションを適用し、新プロセスの開発や操業条件の最適化などが図られている。これまで介在物粒子の凝集や気泡付着など様々な介在物挙動が明確になってきたが、非金属介在物の異相界面(溶融金属/スラグ、溶融金属/耐火物界面など)における速度論的介在物挙動はほとんど進んでおらず、フィッティングパラメータとして扱われているのが現状である。そこで本研究は、介在物の異相界面における捕捉・離脱などの動力学的(速度論的)挙動を解明し、プロセスシミュレータの高度化に資する理論モデル構築を目指した。 初年度は界面捕捉の理論モデル構築とその妥当性検証を実施した。理論モデルの構築においては、介在物の乱流拡散モデル(本申請以前に構築済み)にブラウン拡散機構を考慮し、マクロ・マイクロスケールの介在物の界面捕捉モデルを構築した。並行して、水-油(有機溶媒)系を用いて、水中に懸濁させた模擬介在物粒子(プラスチック粒子)が有機溶媒相に移行する速度を測定し、界面捕捉速度定数を算出した。実験値とモデル計算値を比較した結果、両者はよく一致し、モデルの妥当性を確認できた。 初年度の取り組みとしてモデル構築は計画以上に進展した。実験データは一部不足があるため、第2年度も継続してデータ拡充を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
介在物の界面への輸送・捕捉機構は、乱流拡散機構とブラウン拡散機構によって界面に輸送・捕捉されると考えられる。すでに乱流拡散機構に基づく介在物の界面捕捉モデルは構築していたが、界面近傍では乱流減衰するためブラウン拡散機構が優勢となる。この機構をモデルに考慮できていなかったが、本年度の取り組みによりブラウン拡散機構を組み合わせた界面捕捉モデルを構築できた。 並行して、溶融金属を水、スラグ(フラックス)相を酢酸エチル、介在物粒子をプラスチック粒子で模した水モデル実験を実施し、液液界面における介在物粒子の界面捕捉速度を実験的に測定した。モデルと比較した結果、理論モデルの計算値と実測値は良好な一致を示し、新たに構築した界面捕捉モデルが妥当であることが実証できた。なお、当初はモデルに界面におけるvan der Waals相互作用を組み入れる予定であったが、この機構を組み入れずとも実験値とよく一致したため、現モデルには考慮していない。本年度も継続して検証データを積み上げる予定であり、必要があれば適宜モデル改良を行う。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、溶融金属とスラグ(フラックス)界面のような液液界面における界面捕捉挙動を実験的に調査した。計画通り、第2年度は耐火物と溶融金属界面といった固液界面における介在物捕捉挙動を実験的に調査する。同様に水モデル実験を実施し、構築した理論モデルとの比較検証を行う。モデルとの差異が生じた場合は、モデルの見直しを行う。 なお、液液界面における実験データで一部不足している条件がある。理論モデル構築は計画以上に進展しているが、さらにその検証データを積み上げて検証を継続し、確固たるモデルの確立を推進する。
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