研究課題/領域番号 |
22K04795
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
保科 宏行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (60446416)
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研究分担者 |
瀬古 典明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員 (10354953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 吸着材 / 資源回収 / 不織布基材 / レアアース / 放射線加工 / 量子ビーム / 高分子吸着材 |
研究開始時の研究の概要 |
都市鉱山から抽出した様々な金属が共存する酸性溶液から、対象とするレアアースだけを特異的に捕捉可能な高分子吸着材を開発し、レアアースリサイクルの効率化を目指す。具体的には、レアアースに対して親和性が高い低分子の抽出剤に、対象となるレアアースを予め吸着させた状態で放射線架橋を施すことで、対象金属を強固に固定化した高分子ネットワーク構造(鋳型構造)を形成させる。最終的に、固定化した対象金属を溶離剤により脱離させることで、低分子抽出剤が持つ優れた吸着選択性と鋳型構造によるサイズ認識能を併せ持つ高分子吸着材の創製を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、放射線加工技術を駆使して、ポリエチレン製不織布基材に、レアアースに対して親和性が高い低分子の金属抽出剤と、サイズ認識により金属の分別が可能なネットワーク構造を効果的に導入し、対象とする金属だけを選択的に捕捉可能な高分子吸着材の開発を目指す。 抽出剤を吸着基として導入するうえで、抽出剤が有する吸着特性を損なうこと無く、安定した状態で高分子基材に導入することが重要である。そこで、本年度の研究では、抽出剤およびネットワーク構造の導入に必要な架橋剤の選定を行うとともに、放射線架橋を行う際の線量や抽出剤と架橋剤の混合比等が及ぼす吸着基導入量および吸着特性への影響について検討した。 レアアースに高い親和性を持つ2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルに対して、5~50 wt%の割合で、5種類の架橋剤をそれぞれ混合させた後、混合液を不織布基材に含侵させた状態で電子線を10~200 kGy照射して吸着材を合成した。照射後に未反応の混合液を洗浄した後、合成前後の重量差から吸着基(架橋構造を含む)の導入量を算出した結果、架橋剤量及び線量の増加に伴い導入量が増加する傾向が認められた。得られた吸着材を用いて、ジスプロシウム(Dy)に対する吸着特性を評価した結果、線量50 kGy以上の条件で合成した吸着材は吸着性能が低下することが分かった。これは、吸着基近傍に過剰に導入された架橋構造がDy吸着を阻害したことが原因と考えられる。一方、トリアリルイソシアヌレートを50 wt%混合し、30 kGyの条件で合成した吸着材は、Dyに対して吸着材1 gあたり17 mgの高い吸着量を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、放射線架橋により吸着基を導入する際の、線量および抽出剤と架橋剤の混合比、架橋剤種等について検討を行い、不織布基材に吸着基を導入することができた。また、吸着材合成条件、吸着基導入量が及ぼす吸着特性への影響についても検討し、高い吸着量を有する高分子吸着材の合成に成功したことから、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、吸着材に導入した架橋構造の密度と吸着選択性の相関性を明らかにする。また、吸着した金属の最適な溶離条件を検討するとともに、吸着材の耐久性評価を行い、吸着材の繰り返し使用を検討する。
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