研究課題/領域番号 |
22K04796
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
下村 拓也 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (90639478)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 相分離 / イオン液体+イオン液体混合物 / イオン液体+イオン液体混合物 |
研究開始時の研究の概要 |
共通のアニオンを持つイオン液体+イオン液体混合物は冷却すると相分離を起こし、さらに共通アニオンを変えるとイオン液体+イオン液体混合物の相分離温度は劇的に変化する。しかしながら、共通アニオンのどのような性質がイオン液体+イオン液体混合物の相分離挙動に影響を与えているのかなどの本質的なことについては明らかになっていない。本研究では、①イオン液体+イオン液体混合物の相分離挙動におよぼす共通アニオンの影響を明らかにするとともに、②共通アニオンのどのような性質が混合物の相分離挙動に影響を与えているかを分子レベルで観測することで解明することを目的とした。
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研究実績の概要 |
本年度はまず初めに、これまで共通アニオンとして用いてきたbis(trifluoromethanesulfonyl)amide ([TFSA]-)に変えて、より疎水性が低いtrifluoromethanesulfonate ([OTf]-)をアニオンとするイミダゾリウム系イオン液体とホスホニウム系イオン液体を合成した。これらのイオン液体を用いて[OTf]-を共通アニオンとするイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物を調製し、相分離挙動を観測した。また、イミダゾリウムカチオンとホスホニウムカチオンのアルキル鎖長を変化させ、イオン液体混合物の相分離挙動におよぼすアルキル鎖長の効果も観測した。 今回調製した[OTf]-を共通アニオンとするイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物は1.冷却すると相分離を起こす、2.イミダゾリウムカチオンのアルキル鎖長を伸ばすと相分離温度が低下する、3.ホスホニウムカチオンのアルキル鎖長を伸ばすと相分離温度が上昇する、ということが明らかになった。これらの特徴は、[TFSA]-を共通アニオンとするイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物と同様であった。また、混合物の相分離挙動におよぼす共通アニオンの影響を比較したところ、[OTf]-を共通アニオンとする混合物の相分離温度は、[TFSA]-を共通アニオンとする混合物の相分離温度よりも約120℃高いことが明らかになった。このことから、疎水性の低い共通アニオンを持つ混合物ほど相分離温度が高くなることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、これまで共通アニオンとして用いてきた[TFSA]-よりも疎水性の低い共通アニオンである[OTf]-を共通アニオンとするイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物の相分離挙動を明らかにし、[TFSA]-を共通アニオンとするイオン液体+イオン液体混合物の相分離挙動と比較することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究結果から、疎水性の低い共通アニオンを持つイオン液体+イオン液体混合物ほど相分離温度が高くなることが示唆された。このことを検証するために、さらに疎水性の低いアニオンを有するイミダゾリウム系イオン液体とホスホニウム系イオン液体を合成し、これらの混合物の相分離挙動を観測する。
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