研究課題/領域番号 |
22K04803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三野 泰志 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (70709922)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 油水分離 / コアレッサー / 数値シミュレーション / 混相流 / 格子ボルツマン法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、水中に分散した油滴(O/Wエマルション)をフィルターを用いて効率的に分離する技術の一つである「コアレッサー」を理論的に設計するための指針の確立を目指す。フィルターのような多孔体内部の油滴運動を詳細に調べるための数値シミュレーション技術を開発する。さらに、O/Wエマルションが多孔体を透過する様子をシミュレーションと直接観察実験により調査し、種々の因子と形成される油滴サイズとの関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、水中に分散した油滴(O/Wエマルション)をフィルターによって効率的に分離する技術の一つである「コアレッサー」を理論的に設計するための指針を確立することである。O/Wエマルションが多孔体を透過する様子を数値シミュレーションと直接観察実験によって調査し、油滴の合一挙動に影響を及ぼす因子を明らかにすることを目指して、令和5年度は以下の成果を得た。 (1)数値シミュレーション技術の開発:界面活性剤を含む油-水二相流体を表現するための流体シミュレーション技術を開発した。計算の高速化を図るために、二相流体の運動の計算には格子ボルツマン法を、界面活性剤の移流・拡散の計算には有限差分法を用いるハイブリッド型アルゴリズムを構築した。さらに、OpenMPによる並列計算を可能にした。以上のようにモデルを改良した結果、二相流体の多孔体透過シミュレーションの計算速度が大幅に向上した。 (2)液滴の多孔体透過挙動の観察実験:粒子充填層内の二相流体透過実験を行った。直接観察用セルとしてガラスビーズを中央部に充填した擬2次元セルを作製し、着色した液体が透過する様子を光学顕微鏡によって観察した。二相流体の透過プロセスにおいて、固体表面のぬれ性が透過挙動に及ぼす影響を明らかにした。また、本検討を行う中で、多孔体を形成する粒子のぬれ性を二相流体を透過させるのに必要な圧力から評価する方法を開発した。本技術はコアレッサーとして用いる種々の多孔体のぬれ性評価にも利用できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値シミュレーションモデルの開発においては、昨年度構築したモデルをさらに改良することで計算の高速化に成功した。しかし、多孔体内の液滴透過挙動を直接観察するための実験システムの構築に予定以上の時間を要したため、実験結果との比較による数値シミュレーションモデルの妥当性検証が十分には行えなかった。以上の状況を総合的に評価して「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で開発した油水二相流体の多孔体透過シミュレーション技術の妥当性を検証する。粒子充填層内の液滴透過挙動について計算結果と直接観察結果を比較し、特に液滴の変形挙動や固体表面上でのぬれ現象を正しく表現できていることを確認する。シミュレーション技術の妥当性の検証が完了した後は、界面活性剤を含むO/Wエマルションの多孔体透過シミュレーションを行う。油滴サイズや界面張力、粘度といった処理対象液の物性、界面活性剤の種類、多孔体のぬれ性や細孔径、操作条件などの中から重要な因子を特定し、それらと形成される油滴サイズ(分離効率)との定量的な関係を明らかにする。
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