研究課題/領域番号 |
22K04807
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
西浜 章平 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00347668)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膜分離 / 無機吸着剤 / 混合マトリックス膜 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒ素やセレンは自然由来および人間活動に起因して水環境中に含まれる有害重金属であり、同時に分離除去が可能な手法の確立が求められている。鉄系の無機吸着剤であるゲータイトは、これらの重金属への吸着能を有しているが、粉末状であることから、カラム吸着プロセスへ適用するためには造粒する必要があり、そのために吸着性能が大きく低下する。本研究では、無機吸着剤であるゲータイトの性能を最大限に発揮させるために、混合マトリックス膜へと展開し、水環境中からヒ素およびセレンを高効率に分離除去できる水処理技術の確立を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、水環境中の有害重金属であるヒ素、およびセレンを分離対象物質とし、鉄系の粉末吸着剤ゲータイト(FeOOH)を担持した混合マトリックス膜によるヒ素とセレンの分離除去を行うことを目的としている。令和5年度はゲータイトを混合マトリックス膜に保持した高機能性膜分離材料を用いたヒ素およびセレンの同時分離除去について研究を行った。 デットエンド型セルを用いて圧力の影響を検討した結果、操作圧力の増加に伴って透過流束が増加し、阻止率が減少した。また、調製した高機能性膜分離材料は低圧条件下において優れた分離性能を有することが明らかになった。pHの影響を検討した結果、ヒ素・セレン共に酸性条件下で膜による高効率の分離が可能であった。中性領域(pH = 6 - 8)でのヒ素とセレンの分離性能はAs(V) ≧ As(III) > Se(IV) >> Se(VI)の順であった。これは、ヒ素とセレンの溶存化学種が大きく影響していると考えられる。 クロスフロー型セルを用いたヒ素・セレン単独溶液での透過実験の結果より、中性領域のAs(III), As(V), Se(IV)に対して90%以上の阻止率を達成した。一方で、Se(VI)の阻止率は50%程度であった。Se(VI)の阻止率はpHを1.5程度にすることで向上した。ヒ素・セレン混合溶液での透過実験の結果より、As(III)を含む混合溶液では、酸性領域においてAs(III), Se(IV)の両方で高い阻止率が得られた。As(V)を含む混合溶液では、酸性領域においてAs(V)/Se(IV)の同時除去が可能であり、As(V)/Se(VI)では短時間ではあるが同時除去が可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度~5年度の研究計画であったゲータイトを混合マトリックス膜に保持した高機能性膜分離材料の調製とヒ素およびセレンの同時分離除去手法の確立について予定通りの進捗で実施した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、研究計画通り、長時間連続試験による膜分離システムの安定性・耐久性の評価を実施する。運転時間に伴い、吸着剤への吸着量が飽和に達すると分離性能が低下するとともに、透過流束も減少していくことが予想されるため、吸着された分離対象物質の溶離が可能な溶液により逆洗浄を行うことで、膜の再生挙動について評価を行い、連続運転が可能な操作条件を確立する。
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