研究課題/領域番号 |
22K04814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
石飛 宏和 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00708406)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | レドックスフロー電池 / 反応工学 / カーボン多孔電極 / 連通孔 / 物質輸送 / シャーウッド数 / 液透過性 / バインダー材 / 圧力損失 / 耐久性 / 多孔電極 |
研究開始時の研究の概要 |
再生可能エネルギーを最大限に活用するためにレドックスフロー電池が注目されている.レドックスフロー電池の電極材料は液透過性と物質輸送特性がトレードオフ関係になる問題点,耐久性が低い問題点が課題であった.本研究では,特異な構造を持つ電極材料を開発し,移流と拡散の機能を分担させて,高液透過性と高物質輸送速度を両立出来ることを示す.設計した電極を用いて繰り返し充放電を行うことにより,電極材料の耐久試験性を評価する.
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研究実績の概要 |
バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)は,活物質としてバナジウム錯体を使う送液型の蓄電池である.近年の国内外の研究活動により電極活性は向上したものの,高濃度の活物質を含む電解液を用いるため,比較的に低い拡散係数・比較的に高い粘度によりシステムのエネルギー効率が低下する課題があった. 2023年度は電解液をフローさせた際の物質輸送のしやすさを表す「境膜物質輸送係数」について電解液組成や電極多孔構造と関連させて化学工学的な研究を進めた.レドックスフロー電池の輸送物性について回転粘度計,回転電極,対称セルなどの手法で実験的に評価を行った.バナジウム電解液を用いた場合には,バナジウム活物質の濃度が高くなると同じレイノルズ数(粘性力と慣性力の比)でも比較的に高いシャーウッド数(流れがある際の物質輸送速度と流れが無い際の物質輸送速度の比)を示した.これはシャーウッド数の相関式の中にシュミット数(粘度と拡散係数の比)が含まれており,高濃度電解液になると粘度が増加・拡散係数が低下するためだと考えられる. また,有機系の活物質を用いた電解液では,バナジウムと同程度の濃度に揃えても比較的にシャーウッド数が低い結果が得られた.本実験事実に関する解釈は検討中であるが,カーボン電極上で有機系活物質が強く吸着している可能性が示唆される.有機系の活物質については活物質の置換基の種類により粘度・拡散係数が異なる結果が得られ,水和構造の違いによって輸送物性が異なっている点が示唆された. なお,本研究で得られたシャーウッド数は1以下となり,通常の化学プロセスにおけるシャーウッド数の値と比較して桁違いに低いと言える.今後はこの要因についても実験上の課題,解析上の課題の両面から検討を進めたい. 2023年度は1件の招待・依頼講演を行った.加えて,1件の論文発表, 5件の国内学会発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度は無機系・有機系のさまざまな活物質およびさまざまなカーボン多孔電極を用いて粘度・拡散係数・境膜物質輸送係数を評価し,データを蓄積できた.これらの結果を整理・検討し,2024年度以降の研究に活かしていく.また,複合電極についても初期的な実験を行った.論文発表・学会発表も行い,当初予定していた研究を実施することができた.以上より,当初の目的に従って計画を遂行することができたため,本研究は「おおむね順調に進展している」と判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,基礎的な輸送物性(拡散係数・粘度など)の実測を行う.加えて,電極多孔構造・活物質の構造と境膜物質輸送係数・液透過係数の関係についてデータの蓄積と解析を進める.研究代表者は2024年度に所属機関が変更となり独立研究者となるため,研究環境の整備・構築を行う.引き続き,研究成果を発表・討論するために学会発表などを行う.
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