研究課題/領域番号 |
22K04818
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
松根 英樹 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10380586)
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研究分担者 |
宮武 宗利 宮崎大学, 工学部, 助教 (40315354)
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 教授 (80235506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | カプセル / 遺伝子 / シリカ / 糖 / 遺伝子導入 / シルセスキオキサン / 細胞 / ナノカプセル / 環境応答性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,オリゴシルセスキオキサン(SQ)から構成される新規遺伝子導入用キャリアの開発を行う.SQという,遺伝子導入には新規な微粒子を用いてカプセルを構築し,DNAやRNAなどを閉じ込めて,細胞への遺伝子導入を図る.遺伝子導入に必要な表面官能基やキャリア構造の最適化を図り,高効率遺伝子導入のための法則を明らかにしつつ,その導入機構を解明することで,新規遺伝子導入のための方法を構築する.最終的に,現行の遺伝子導入キャリアが実施できていない,巨大サイズの遺伝子導入を行う.
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研究実績の概要 |
現在、遺伝子をクスリに用いる遺伝子治療の開発が精力的に進められている。この治療法において、DNAやRNAなどの遺伝子を体内の標的細胞に送り届ける必要がある。運搬を担うカプセルをベクターと呼ぶが、このベクターを遺伝子と複合化させて、標的細胞に送達し、かつ標的細胞内へ侵入し、遺伝子を細胞内に放出して初めて遺伝子がクスリとして働く。遺伝子治療において、このベクターの性能が遺伝子発現の効率、最終的には治療効果に大きく左右する。 本研究の目的は、新規構造のベクターを全く新しい概念に基づいて開発することである。特に、従来用いることができなかったクラスの遺伝子を治療に適用できるようにすることとが目標である。申請者が開発した環境応答性の中空シリカ粒子を遺伝子のベクターに用いる。サイズがサブ100 nmの粒子で内部に大きな空孔を有し、かつカプセル膜には細胞内で崩壊するように設計されている。遺伝子をこの空孔に閉じ込めたまま細胞に取り込ませ、細胞に取り込ませ、遺伝子発現ができることを実証する。 初年度は、内包する遺伝子を傷つけずにカプセル内に封止する技術の開発を目標とした。これを達成するために、適当な保護剤を選択し、これを遺伝子と複合化しつつ壁材で被覆してカプセル化することを検討した。最適な材料の探索および調製条件の最適化を図った。 生体に無害で水溶性の糖が遺伝子の保護剤に適用できるかを調べた。種々の糖類でナノ粒子化を検討し、続いてシリカで被覆するときの条件を明らかにした。その結果、限られた種類ではあるが、特定の糖類でナノ粒子構造が形成できることがわかった。さらに、シリカ膜で被覆する反応条件を明らかにした。さらに、カプセル表面の修飾を施し、血中や細胞液など高塩濃度の水溶液中に分散させることに成功した。以上のようにして、今後研究を進めていく上で根幹となる知見を揃えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保護剤として当初有望と見込んでいた生体分子で進めていたが、そのままでは目的が達成できないことが見込まれ、再度、物質のスクリーニングを実施する必要が生じた。その分、予定より時間を要することになり、現時点での評価を「やや遅れている」とした。しかし、最終的には適切な保護剤の候補が見つかり、今後これを基に進めていくことで、遅れを挽回できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、遺伝子をカプセルに内包させ、細胞内で発現させる方法を開発することを目的としている。今後は、カプセルに刺激応答性へ機能化することで、細胞内で遺伝子が放出する能力を付与する。実際に、培養細胞を用いて検証し、遺伝子発現するかどうか、その効率を上げるためにどのようなパラメータがあるかを探索する。その上で、従来適用できなかったような遺伝子を細胞で発現させるための方法論を開拓していく。
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