研究課題/領域番号 |
22K04819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
小廣 和哉 高知工科大学, 理工学群, 教授 (60170370)
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研究分担者 |
古田 寛 高知工科大学, システム工学群, 教授 (10389207)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ソルボサーマル反応 / カーボンナノチューブ / 等方性 / CNT-Hair / 金属酸化物球状多孔体 / ソルボサーマル合成 / CNT球状構造体 / メタマテリアル / 球状多孔体 |
研究開始時の研究の概要 |
サブミクロンサイズで粒径分布が10%以下の均一な金属酸化物球状多孔体を核とし、その周りにカーボンナノチューブ(CNT)が全方向に均一に密集・自生したCNT/多孔体の高効率合成法を開発する。まず、各種金属酸化物とCNT生成触媒からなる複合体多孔体をソルボサーマル合成する。全体径やCNT量が均一なCNT/多孔体が得られれば、CNT/多孔体が高次元に均一配列した高次構造体が形成されると期待できる。また、このCNT/多孔体配列構造体には、グラフェンやCNTなど従来低次元材料とは異なる等方性の電気的・光学的特性が期待でき、燃料電池触媒電極材、等方性電磁波吸収薄膜、伝熱膜等の、新規機能材料創出を目指す。
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研究実績の概要 |
CVD反応において、反応炉内に残存する酸素量や水蒸気量などの炉内環境はCNTの成長に大きく影響する。前年度まで使用していた熱CVD装置 (小スケールCVD装置) では、反応炉内の水蒸気や不純物を除去するため、ロータリーポンプとターボ分子ポンプを用い高真空状態を保っていた。しかし、粉末触媒であるFeOx-ZrO2 MARIMOを直接この小スケールCVD装置に入れ高真空状態にする際、粉末が飛散してしまう恐れがあり、粉末試料の飛散は反応炉内汚染やターボ分子ポンプの故障につながる。そのため、小スケールCVD装置を使用する際には粉末の分散液をSi基板上に滴下し、粉末試料が飛散しないように(ドロップキャスト)してからCVD反応を行っていた。しかし、この手法では、CVD反応に使用できる触媒量が限られ、目的物であるCNT構造体の量を確保するのが難しかった。反応のスケールアップには、高真空を必要とする装置ではなく低真空が適している。そこで、ターボ分子ポンプを用いず、ロータリーポンプのみで反応炉内の低真空を保ち、かつ、不活性ガスであるArで反応炉内をフラッシュすることで、低真空状態でも反応炉内を良好な環境に保つことができると考えた。この考えに基づき新規熱CVD装置 (大スケールCVD装置) を立ち上げ、CNT/一段階FeOx-ZrO2 MARIMOのスケールアップ合成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに組立てた大スケールCVD装置では、用いる触媒の量やアセチレンガスの量などの反応条件が小スケールCVD装置と大きく異なるため、反応条件を検討した。その結果、一段階反応で得られたFeOx-ZrO2 MARIMO触媒、含浸法で得られたFeOx-ZrO2 MARIMO触媒ともに、Ar流速 2.0 sccm、アセチレンガス供給時間5分、反応温度730 ℃がCNT成長の最適条件であった。これまで用いていた小スケールCVD装置では一度に得られるCNT構造体の量は約0.5 mgであったが、今回の大スケールCVD装置では60 mg程度のCNT構造体が得られ、100倍のスケールアップに成功した。Ramanスペクトルにより得られたCNTの結晶性を評価したところ、IG/IDは2.21(一段階FeOx-ZrO2 MARIMO触媒)あるいは3.68(含浸法FeOx-ZrO2 MARIMO触媒)となり、両者ともに非常に高い結晶性を示した。また、一段階FeOx-ZrO2 MARIMOから成長したCNTは高密度であり、CNT/FeOx-ZrO2 MARIMO内に質量約50%のCNTが含まれていた。 一方、含浸FeOx-ZrO2 MARIMOから成長したCNTの平均直径は10 nm以下と細く、かつ結晶性が高かった。このように、用いる触媒により成長するCNTを作り分けることが可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
一回の反応で100mgに迫る量のCNT構造体が得られたので、得られたCNT構造体の物理的特性や電気的特性を調べることが可能になる。CNT構造体の均一性評価は、走査型電子顕微鏡、FT-IRを用いて評価する。重量評価と比表面積計測によりCNT構造体の密度評価を行う。顕微ラマン分光器を用い次元制約的CNT結晶性を評価する。CNT成長方向が等方的と期待できるため、電気伝導や光学特性の空間等方性を評価する。
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