研究課題/領域番号 |
22K04822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
一國 伸之 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40261937)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 酸化物ナノクラスター / 触媒 / XAFS / アルコール酸化反応 / コバルト酸化物 / ニッケル酸化物 / マンガン添加 / ナノクラスター |
研究開始時の研究の概要 |
高効率な触媒の開発により物質変換プロセスにおけるSDGs達成の一翼を担う。中でも,資源制約のある貴金属元素から脱却し,マンガン,鉄などの卑金属元素種による高活性な触媒開発を目指す。これらの化学種をナノメートルサイズに作りあげるだけでなく,副元素の精緻な導入および担体と一体化した構造を組み入れた,新規卑金属元素ナノクラスターとすることで貴金属を凌駕する触媒作用の創出を図る。
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研究実績の概要 |
コバルトやニッケルなどの卑金属元素の酸化物種を担体上でナノメートルサイズに微細化させ,担体や第二元素添加による協奏効果を効果的に発現させて,分子状酸素を用いたアルコール酸化反応活性の向上を目指した。 (1)担持型酸化コバルトのナノクラスター化による高活性化:活性炭上にコバルト酸化物ナノクラスターを構築したところ,コバルトの担持量を3 wt%から1 wt%に下げることでコバルトあたりの1-フェニルエタノールの酸化反応活性を2倍向上させることに成功した。TEM観測から3 wt%ではコバルト酸化物種は平均粒径が6.0 nmであったが,1 wt%では粒子の観測ができなかった。XAFS解析結果と比較することで,1 wt%では1.0 nm程度にまで小さくなっていたことが示唆された。また,微小化したコバルト酸化物の格子酸素がアルコール酸化反応に寄与し,その後気相の分子状酸素により触媒構造が復元するというサイクルを繰り返していることがXAFS解析から明らかになった。 (2)マンガン種を添加した酸化ニッケルナノクラスター触媒による協奏効果:活性炭上にマンガン種を添加したニッケル酸化物ナノクラスター構築した。ニッケルと複合化していないマンガン酸化物ナノクラスター自体も酸化反応に活性を有するが,この場合は反応前後にマンガン種が還元することがXAFSからわかった。一方,ニッケル種に添加したマンガン種は,反応前後で還元してなく,直接アルコールを酸化していないことが示唆された。添加したマンガンの粒子サイズを小さくすることでNi-O-Mn構造を増やすことも効果的であることがわかったが,さらに,マンガン種の酸化状態が高いことで高活性な触媒となることがXAFSなどの解析から明らかとなった。活性種だけでなく,添加元素のサイズや酸化状態も明らかにし,新たな複合構造創出に向けた知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画は,マンガン種を添加した酸化ニッケルナノクラスターの調製および担体への構築とアルコール酸化反応活性の向上であった。マンガン種の添加方法を変化させ,マンガンとニッケルの複合状態を変化させるだけでなく,複合ナノクラスターのサイズ制御が達成できており研究計画通りに進展していると言える。また,X線吸収スペクトル(XAFS)を用いて複合構造やナノクラスターのサイズを明らかにできたことも評価できる内容である。さらに,卑金属酸化物クラスターとしてコバルト酸化物ナノクラスターを活性炭上に構築し,その触媒作用をXAFSを用いて探求できたことは,次年度以後の触媒構造と反応機構の解析に向けて適切に研究が進展していると言える。 一方で,軟X線XAFSを用いてニッケルおよび添加したマンガン種の構造解析を行おうという点は予定通りには進展していない。しかしながら,ニッケルやマンガン種の構造情報から価数に関する情報が得られている点,ならびにXPSによる解析に取り組んだことなどで,当初予定とは異なるアプローチではあったが活性種の局所構造に関して情報を得るという観点ではある程度の目標は達成できていると判断される。 以上より,全体として,おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
液相アルコール選択酸化反応の基質適用性について精力的に拡張する。これらの触媒性能評価と前年度に続いて実施している構造評価を総合的に解釈することで,ナノクラスター科学における,ニッケル種の担体界面による酸化反応のアシスト機能,第二成分添加による複合構造により得られる触媒作用がどのような因子によって発現・制御されているのかの理解を追求する。同時に,ニッケル酸化物を中心にしていたナノクラスター調製を他の卑金属元素である鉄,コバルトにも拡張し,これらの酸化物ナノクラスターにおける他元素の複合構造創出に着手する。
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