研究課題/領域番号 |
22K04828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
亀島 欣一 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (50251616)
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研究分担者 |
西本 俊介 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (90435826)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ゼオライト多孔体 / 原油分離 / 分解触媒 / 模擬原油 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,多孔性を制御したZSM-5型ゼオライトで構成される多孔体を作製し,原油の膜・多孔体分離を目的とする.申請者が見出したマクロ多孔体による分離現象を適用し,模擬原油中の重質部が積極的に排出され,軽質部が分離される.造孔材を用いた直管型の細孔をもつ多孔体を作製する.模擬原油を用いた分離性能を所定の温度条件で行う.多孔性と分離の関係,分離に対する組成の影響,およびゼオライトの分解触媒性能の影響を詳細に調査し,重質部と軽質部の分離性能が高い多孔体を開発する.最終的に得られる原油分離技術は,低環境負荷の新しい分離精製技術に向けたコア技術であり,二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献できる.
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研究実績の概要 |
本研究では申請者が見出したゼオライトマクロ多孔体の作製方法を基盤に,造孔剤を利用した直管孔型の多孔体を作製し,得られた多孔体を利用した原油分離技術を確立することを目的として研究を進めた。当該年度は,テフロン容器内に造孔剤となる棒状物を封じた条件でのゼオライトマクロ多孔体の作製方法を検討した。ゼオライトにはこれまで実績のあるZSM-5型を選択し,所定の条件でゲル溶液を調製した.このゲル溶液を用い,まずテフロン棒を用いたチューブ状多孔体を作製したところ,内封させたテフロン棒の太さと同程度の内径を保持した多孔体の作製に成功した。次に,テフロン棒の代わりに造孔剤となるカーボンロッドを内封させて多孔体の作製を検討した。中心に1本のロッドを保持した条件ではテフロン棒と同様の結果が得られた.それを踏まえて,現在は7本のロッドを均等に配置した条件での多孔体作製を進めている. 一方,テフロン棒で作製されたチューブ状多孔体について,ゼオライト壁の多孔性をキャラクタリゼーションした.結晶相はZSM-5しか観測されず,不純物として残留しやすい石英はほとんど観測されなかった.気孔率は60%であり,当グループのこれまでのゼオライトマクロ多孔体よりも高い値であった.このゼオライト壁を利用してエタノール水溶液からのエタノール分離能を評価した.その結果は,既存よりも低い分離性能であった.現在,ゼオライト壁部分の性能に関して,多孔体の作製と平行して検討を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼオライトマクロ多孔体作製時に,造孔剤や造孔物などの異種物質がゲル溶液中に共存する条件で多孔体を形成できるかどうかが本研究の最初の大きな課題であったが,おおむね問題なくクリアできていることから,「おおむね順調に進展している」と判断した.今後は1mm前後の造孔剤においても同様に多孔体を形成できるかどうかが,実用的な分離技術に結実できるかどうかの鍵になると考えている.一方,ゼオライト壁の物性については,現状で模擬原油などに対してどのように作用するのかを見極めた上で,その制御を検討すれば十分に対応できると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
現在,複数のカーボンロッドを造孔剤に利用した多孔体作製に取り組んでいるが,この技術を確立して目的とする任意の孔径で任意の気孔率をもつ直管孔型の多孔体を作製する.これと平行して,ゼオライト壁の物性評価と模擬原油およびその関連物質に対する浸透性,親和性,あるいは吸着性を評価し,重質成分と軽質成分の分離可能な条件をまずはマクロ気孔をもたない多孔体(従前のマクロ多孔体)について検討する.これと同時並行で,ゼオライトをプロトン化し,その固体酸性,あるいはプロトン付与性が分離に及ぼす影響を明らかにする.今年度の早い段階で模擬原油の分離への目処を立てる予定である.
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