研究課題/領域番号 |
22K04830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 文哉 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (00709488)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 触媒の長寿命化 / 非晶質シリカ / レブリン酸 / 細孔サイズ制御 / 反応ルートの解明 / バイオマス由来化合物の変換 / 二元機能触媒 / 高圧流通反応 / 反応機構の解明 / バイオマス変換 |
研究開始時の研究の概要 |
トウモロコシの軸、草本など非可食バイオマス由来のセルロースを加水分解することで合成できるレブリン酸を固体触媒により化成品、燃料などの原料となるペンタン酸に変換するルートについて、触媒開発につなげるため次の実験を行う。 (1)レブリン酸からペンタン酸へのルートの解明:変換ルートの途中で得られる化合物(中間生成物)を明らかにし、ルートの各段階で効果を発揮する触媒の種類(酸、塩基など)を明らかにする (2)この変換ルートに用いる触媒の候補であるシリカアルミナに含まれるアルミナの分散状態を明らかにする (3)原料であるレブリン酸水溶液は濃度が濃くなるとペンタン酸を生成しにくくなるがこの理由を調査する
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研究実績の概要 |
草本由来の非可食バイオマスより得られるレブリン酸から化成品の原料となるペンタン酸への合成ルートについて、2023年度は触媒寿命を短くする要因の解明を進めた。2022年度に固体酸と水素化能を有する金属が本ルートに適した触媒であることが判明していたため、該当する触媒を多数テストしたが軒並み触媒活性が経時的に低下した。そこで、ルートのどの段階で経時的な低下が発生しているかを明らかにするため、本ルートの中間生成物であるγ-バレロラクトンを原料として触媒寿命を調査した。その結果、γ-バレロラクトン→ペンタン酸の段階では固体酸の酸性質によらず触媒活性の経時的変化はほぼみられず、触媒活性の低下はレブリン酸→γ-バレロラクトンの段階で発生していることが判明した。 レブリン酸→γ-バレロラクトンについて、触媒担体にシリカなどの酸性質に乏しいものを用いることで触媒寿命が長くなることは研究代表者らの過去の報告で明らかとなっている。つまり、固体酸によりできてしまった被覆物が触媒活性を低下させている可能性が濃厚となった。そのため、レブリン酸→ペンタン酸については1種類の触媒で無理に進めるよりも2種類の触媒を組み合わせる方が寿命を維持できるという結論に至った。 そこでレブリン酸→γ-バレロラクトン用の触媒担体として非晶質シリカを本課題の研究対象に加えた。特にメソ孔径が小さいと担持金属が細孔内に入らないという問題があるため、メソ孔径の制御方法について調べた。ただし、その方法によっては機械的強度が損なわれる可能性があるため、メソ孔容積の拡大はできるだけ抑えることを目標とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り、触媒活性の低下はレブリン酸→γ-バレロラクトンの段階で固体酸により発生していることが明らかとなった。これによりレブリン酸→ペンタン酸については1種類の触媒で無理に進めるよりも2種類の触媒を組み合わせる方が寿命を維持できるという結論を導き出せている。この成果については第134回触媒討論会での発表を予定している(発表申し込み済み)。 また、焼成後のシリカを水熱処理することで機械的強度を大きく損なることなくメソ孔径を拡大させることに成功した。また、水熱処理の条件によりサイズを制御できることが明らかとなった。こちらの成果については日本セラミックス協会2024年年会で発表した。 以上のように学会発表を行える成果が上がっており、本課題はおおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は当初計画の中でまだ残された課題であるレブリン酸水溶液濃度の影響について検討する(高濃度では触媒活性が出ず、その要因を明らかにする)。また、本課題外の研究成果によりシリカアルミナ中のアルミナの分散状態についてSEM-EDSを利用できる可能性が出てきたため調査を進める予定である。 論文投稿できる成果が上がりつつあるため2024年度中の論文投稿を予定している。
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