研究課題/領域番号 |
22K04845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西東 洋一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 特任助教 (20783567)
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研究分担者 |
藤原 章雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (70452886)
中島 雄太 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70574341)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マクロファージ / 炎症 / 粒子 / ハイドロゲル / フィブリン / 貪食 / 抗腫瘍免疫 / 生体材料 / 組織再生 / 機能粒子 / がん免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
径の異なる生体材料粒子を作製しマクロファージに貪食・処理させることで、粒子径固有のマクロファージ活性化(炎症促進作用:M1や抗炎症作用:M2)を誘導できることを明らかにする。この基礎的知見を基に、ハイドロゲル内に目的に応じた材質や径の粒子と機能薬剤を組込んだハイブリッドゲルの作製を試み、必要な細胞誘導と適切なマクロファージ活性化によって疾患(特に慢性炎症性疾患やがん)をコントロールする新たな医療材料治療戦略の基盤知見収集を目指す。
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研究実績の概要 |
PMMA粒子添加マクロファージを用いたがん治療応用へ向けて、マウスへのin vivoがん細胞株植込モデルへの粒子投与実験の計画と予備実験を進めた。 前段階として、マウスマクロファージ細胞株:RAW246, マウス腹腔マクロファージ(MpM)を用いて、粒子径, 投与濃度の異なるPMMA粒子の添加を行い、特定径のPMMA粒子がヒト単球由来マクロファージ(HMDM)と同様に、RAW246やMpMが炎症反応が発揮させるか確認したところ、いずれの細胞においても用いた全てのサイズの粒子を貪食し、HMDMに類似した粒子径でTNFαの発現が誘導された。当該径粒子の投与濃度については細胞間で炎症惹起性に差があった(HMDM>MpM>RAW246)。また、マウス肺癌細胞株:LCCに当該径粒子を直接投与しても細胞毒性が生じない粒子濃度において、RAW246に投与した培養上清をLCCに添加すると、ヒトと同様に細胞傷害性が認められた。RAW246に対応するヒトマクロファージ細胞株として、THP-1をマクロファージ分化させ同様の粒子投与実験を行った。THP-1は全サイズの粒子を旺盛に貪食するにもかかわらず、TNF-αをほとんど分泌しないことが分かった。次に、マウス腹腔内への粒子投与を行い、MpMがin vivoで粒子を貪食することを組織学的解析で確認した。 PMMA粒子以外の様々な機能粒子を探るため、PMMAで炎症惹起性を有した粒子径を中心に別材料の粒子を入手し、HMDMへの投与実験を行った。3種類程度の別材料の粒子で解析を行ったが、現時点ではPMMAのようなはっきりとしたサイズ特異的な炎症惹起性を確認できていない。すなわち、PMMA粒子によるマクロファージへの炎症惹起性は、サイズ依存性のみでなく材料依存性である可能性が強まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粒子を用いたがん治療応用への展望が望めたため、昨年度に続き今年度もフィブリンゲルより粒子を優先させて解析を行った。フィブリンゲルと間葉系細胞との相互作用やフィブリンゲル粒子の作成に遅滞が出ているが、粒子については上述の研究実績の概要の通りの結果を得ている。ゲル内への導入の候補となる他材料粒子の選定も開始しているが、第二・第三の候補粒子の発見には至っていない。従って、当初の計画外への進展があるものの、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスへのがん細胞株植込モデルへの粒子投与実験を完了させ、粒子データのみでの論文化を目指す。PMMA粒子はヒトフィブリンゲルへの導入も可能であり、進めているゲル導入粒子候補の選定と共にヒトフィブリンゲルへの導入と機能解析を進める。遅滞しているヒトフィブリンゲルと間葉系幹細胞との相互作用、フィブリン粒子の作製と機能解析等のデータ収集を可能な限り進め、これらの知見と合わせたフィブリンゲルの論文化に繋げる。最終的に、具体的治療目的を設定した粒子及びハイドロゲルの組み合わせの決定を目標とする。
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