研究課題/領域番号 |
22K04846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
中西 猛 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20422074)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 抗体医薬 / 二重特異性抗体 / 抗体フォーマット / 共通軽鎖 / ペプチドリンカー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究代表者が設計した特徴的な抗体の分子形態、いわゆる抗体フォーマットを最大限活用し、高い安全性と有効性を兼ね備えたバイオ医薬の開発に貢献する抗体工学技術を確立することを目的としている。具体的には、次世代抗体医薬として注目される二重特異性抗体の作製に用いられる重鎖定常領域のヘテロ会合化を必要としない独自の抗体フォーマットを利用し、抗体医薬の副作用発現に関与する可能性があるホモ会合抗体の生成を抑制することによって、副作用リスクが低く、優れた治療効果を発揮する二重特異性抗体を作製することを目指している。
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研究実績の概要 |
本年度は独自設計の3本鎖二重特異性抗体フォーマットについて、副生成物の産生を抑えることによって目的抗体の収率向上を検討した。具体的には3本鎖二重特異性抗体を構成するB鎖のみを含む副生成物の産生を抑制するために、A鎖の1番目重鎖定常領域とB鎖の軽鎖定常領域を交換し、がん関連抗原HER2/HER3を標的とするIgG型非対称二重特異性抗体を設計した。動物細胞を用いて、A鎖およびB鎖を共発現させ、培養上清からプロテインAカラムにより精製した。非還元条件下における電気泳動により分析した結果、B鎖のみを含む副生成物のバンドが見られなかったことから抗体フォーマットの改変により目的二重特異性抗体の収率を高めることができたと考えた。また、B細胞表面抗原BCMA/T細胞表面抗原CD3を標的とする二重特異性抗体について、同様に定常領域を交換した組換え抗体を作製したところ、副生成物の産生を抑制できたことから汎用性に優れた抗体フォーマットであることがわかった。表面プラズモン共鳴法およびフローサイトメトリーによりBCMA/CD3二重特異性抗体を分析した結果、作製した組換え抗体は2種類の標的抗原に対する結合を示した。また、CD3陽性のJurkat細胞に対して、BCMA/CD3二重特異性抗体を反応させた後、さらに蛍光標識した組換えBCMA細胞外ドメインを反応させた。染色したJurkat細胞をフローサイトメトリーにより分析したところピークシフトを示したことから、組換え抗体はBCMAおよびCD3に対する二重特異性を有することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は独自に設計した3本鎖二重特異性抗体を改変し、副生成物の産生を抑制することによって目的抗体の収率を向上させることを主目的として研究を進めた。2種類の組み合わせの標的分子(HER2/HER3およびBCMA/CD3)に対する二重特異性抗体について、A鎖の1番目重鎖定常領域とB鎖の軽鎖定常領域を交換することによって副生成物の産生を抑えることができた。以上から本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今回用いた3本鎖二重特異性抗体フォーマットでは、グリシン/セリン残基から成るペプチドリンカーを介して2種類の重鎖可変領域を連結しているため、リンカーのC末端側に配置した可変領域の機能が影響を受ける可能性がある。一方、3本のポリペプチド鎖が会合する際にリンカーは重要であるものの、会合した後はリンカーを必要としない。そこでリンカーの除去を可能とするために、リンカーの両端にプロテアーゼ認識配列を導入した二重特異性抗体フォーマットを中心に検討を進める。
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