研究課題/領域番号 |
22K04847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
原 正之 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50344172)
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研究分担者 |
森 英樹 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30450894)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 活性酸素種 / 光増感色素 / 細胞分化 / ヘマトポルフィリン / 再生医療 / 組織工学 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は光増感色素のヘマトポルフィリンの可視光照射で生じる低レベルの活性酸素種(ROS)を培養基材の表面からMSCに負荷して培養し、ROS負荷のタイミングや強さを変えて細胞の増殖や分化を誘導できる条件を探索する事を目的とする。再生医療分野で利用される細胞外の刺激から細胞内にROSシグナルが生じる生理的機構があり、MSCの増殖、分化誘導に有利な条件の発見は期待できる。その条件を見つけられれば、低コスト化だけでなく、電気制御が可能で、将来の自動化にも対応した新たな培養技術となる。
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研究実績の概要 |
高レベルの活性酸素種(ROS)は、一般にDNA損傷などを介して細胞周期を停止させ、細胞傷害性を示す場合が多いが、低レベルのROSは、幹細胞などの分化において情報伝達シグナルとして作用する例も報告されている。この様な問題について明らかにするため、EDC/NHSを用いて光増感色素の一種hematoporphyrin(HP)を表面に化学的に固定化したガラス基板(HP基板)を作製して、可視光照射により活性酸素種(ROS)が発生する事を確認した。このHP基板表面から生じるROSの微弱な酸化ストレス刺激によって、分化誘導因子の添加なしに間葉系幹細胞に骨分化が誘導されるか否かを検討した。ラット骨髄由来の間葉系幹細胞を、HP基板を底面としたチャンバー内に播種し、10%ウシ胎仔血清と抗生物質を含むMEM培地で培養した。一晩培養した後、電子制御によりLED光を照射した。細胞膜過酸化脂質検出薬Liperfluoを使用した蛍光顕微鏡観察により、細胞膜過酸化脂質の増加が確認された。また、細胞内ROS検出試薬CM-H2DCFDAを使用した蛍光顕微鏡観察によって、光照射1時間後から細胞内のROSの発生が確認された。2週間の培養後、未修飾の基板上で培養した細胞では骨分化は確認されなかったが、HP基板上で培養した細胞は光照射の有無に関わらず骨芽細胞への分化、骨基質の形成を示すnodule様の構造が観察され、Alizarin Red Sによる染色が確認できた。さらに、細胞膜透過性で過酸化水素消去能を持つPEG-catalaseを事前に培地に添加することによって、骨芽細胞への分化は抑制された。以上の実験結果などから、HP基板による間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化は、光増感色素から発生したROS刺激に応答して、2次的に細胞内で発生した過酸化水素シグナルを介して生じたと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体としては概ね順調に進展していると考えているが、MSCの細胞分化能に与える活性酸素種(ROS)の影響評価については、実験条件の変動が結果の変動に繋がり易いので、より慎重に確認を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は本研究の最終年度に当たるので、ROSの細胞への刺激負荷が、MSCの分化能に与える影響を短期的及び長期的に比較評価して結果を確認したいと考えている。
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