研究課題/領域番号 |
22K04860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
鷺坂 恵介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主幹研究員 (70421401)
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研究分担者 |
中西 和嘉 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20401010)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 走査型トンネル顕微鏡 / 表面錯体 / 3遷移金属 / 配位結合 |
研究開始時の研究の概要 |
固体表面で合成される金属-有機錯体は、様々な化学的・物理的性質を示すことから、分子デバイス、ナノ構造体、超薄膜触媒、薄膜磁気デバイス、二次元超伝導体など多様な分野へ応用可能な基本材料として、多くの研究が行われている。ところが、配位子場理論を用いてよく説明される溶液系の錯体合成と比べて、表面における金属と配位子間の配位結合を制御するための理論は確立されていない。本研究では、我々が独自に合成した配位子分子を用いて、金属表面で種々の3d遷移金属原子と錯体を作製し、錯体形成における表面の役割を明確にし、表面錯体の形成メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
固体表面で合成される金属-有機錯体は、様々な化学的・物理的性質を示すことから、分子デバイス、ナノ構造体、超薄膜触媒、薄膜磁気デバイス、二次元超伝導体など多様な分野へ応用可能な基本材料として、多くの研究が行われている。ところが、配位子場理論を用いてよく制御される溶液系の錯体合成と比べて、表面で金属と配位子間の配位結合を制御するための理論は確立されていない。本研究では、固体表面を利用した錯体形成の機構を明らかにし、その制御を目指すことを目的として、我々が独自に合成したシアノ配位子分子と複数の3d遷移金属との表面錯体を作製し、走査型トンネル顕微鏡および密度汎関数法(DFT)計算を通してそれらの電子状態の調査を行う。 2022年度は、Ag(111)上でシアノ配位子分子とコバルトまたは鉄の錯体を合成し、走査型トンネル顕微鏡で構造と電子状態計測を行った。まず、シアノ配位子分子はAg(111)表面では銀アダトムと配位しないことを確認した。そのため、シアノ配位子分子は、蒸着法で吸着させた金属原子のみと配位する。コバルト原子には5個または6個のシアノ配位子分子が配位することがわかった。配位した分子間の距離から、コバルトは3量体を形成していると考えられる。また、配位子のHOMO-LUMOギャップ間にコバルト原子に起因する電子状態も観測された。これらの結果を確認するためにDFT計算による電子状態計算を進めている。一方、鉄原子とシアノ配位子分子の配位数も6個であった。さらに、鉄原子と配位子したシアノ配位子分子錯体は、単独で存在するより、集合体になりやすいこともわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定していたコバルト錯体の基本的な実験が完了し、鉄錯体の合成にまで取り組めたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き鉄錯体の実験を行い構造と電子状態を確認した後、ニッケル錯体の合成を開始する。同時に、Ag(111)表面にコバルト、鉄、ニッケル錯体が吸着したモデルを用いてDFT計算を行い、実験データと比較し、3d電子数が異なる場合の金属錯体の電子状態を考察していく。時間的に余裕があれば、CuまたはZn錯体の合成にも取り組む。
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