研究課題/領域番号 |
22K04863
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
余越 伸彦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90409681)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 光渦 / スピントロニクス / バレートロニクス / 原子層物質 |
研究開始時の研究の概要 |
特定の固体中の電子には結晶運動量に注目した「バレー」と呼ばれる自由度があり、それを利用したバレートロニクスは高速動作ワーキングメモリの原理として注目されている。これまでに記憶メモリとして優れた特性を示してきたスピン自由度と共に、この自由度を有機的に制御する新奇な手法を開拓することは、科学的興味のみならず次世代高速メモリの開発へと波及する可能性も持つ。 本研究では、電子のスピン・バレー自由度を光の軌道角運動量により制御する原理を確立する。対象として原子層遷移金属ダイカルコゲナイドを想定し、軌道角運動量を持つ光である光渦によるバンド間励起の影響を取り入れたスピン・バレー伝導を解析する。
|
研究実績の概要 |
二硫化モリブデン(MoS2)や二セレン化タングステン(WSe2)などの原子層遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)におけるキャリアもつ「スピン」と「バレー」と呼ばれる自由度を、光のスピン・軌道角運動量を用いて制御する手法について明らかにし、高速動作ワーキングメモリとして利用する原理について理論的に検討を行ってきた。特に軌道角運動量を持つ光である光渦の軌道角運動量がバンド間遷移に与える影響や、その光電場の空間分布がキャリアの伝導にどのような影響を与えるかに注目し、解析を行っている。 2023年度は、原子層TMDについて前年度調べた光学遷移をキャリアの有効ハミルトニアンに取り入れた。具体的には、光の時間周期場をフロッケ理論、光によるバンド間遷移をkp摂動法により取り入れることで、フェルミ面近傍におけるハミルトニアンの再構築を行った。特に、電子と光渦の相互作用について伝導帯と価電子帯のバンド間・バンド内遷移の寄与を同時に取り入れることで、光渦の空間構造を反映した光渦照射に由来するスピン-軌道相互作用を取り入れることができた。この相互作用の効果を、前年度に検討した光照射により時間反転対称性が破れた境界条件とともに取り入れることで、 スピン・バレー電流の空間依存性を明らかすることが期待される。また、これまで取り入れてこなかったバンドに関する光学遷移選択則を明らかにし、有効ハミルトニアンへの影響について評価を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、原子層遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)について光渦の空間構造を同時に取り 入れるよう、キャリアの有効ハミルトニアンを改良することに成功した。また新しく取り入れたバンドの影響について解析が進んでおり、その影響についても評価を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は購入・設置した計算機サーバーを活用し、電子のエッジ構造と光渦の空間構造を同時に取り入れた数値計算を行うことで、光渦励起特有のスピン・バレー伝導の可能性を探理、得られた結果について公開することを目指す。
|