研究課題/領域番号 |
22K04867
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
田邉 洋一 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (80574649)
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研究分担者 |
伊藤 良一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90700170)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | グラフェン / 3次元構造体 / 電気伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
平面状のグラフェン(炭素の蜂の巣格子)をモチーフとして立体的な構造体を作製すると、表面積の増大に応じて、グラフェンの光や熱に対する応答を増幅することが出来ることから、グラフェンを用いた高感度のセンサーやエネルギー生産に用いる触媒の高性能化が可能となります。一方で立体的な曲面上を動き回る電子の性質はよく分かっていないことから、実用化に向けてこれを明らかにする必要があります。この研究では、グラフェンの電子の様々な外場に対する応答の素となる特異な位相に着目し、立体的なグラフェンでこれを観測し、さらに制御するための知見を明らかにします。
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研究実績の概要 |
本年度は、3次元名の多孔質グラフェン(3Dグラフェン)のディラック中性点近傍の低温電気伝導物性を明らかにすることを目的として、3Dグラフェン電気重層ゲルトランジスタの作製を低温電気伝導物性の測定を行った。デバイス作成条件を最適化した結果、ゲート電圧を印加した状態で、サーマルサイクルに対して安定に動作する3Dグラフェン電気2重層トランジスタを作製可能になった。この結果をもとに、曲率半径が50-150nmの3Dグラフェンと窒素を部分置換した3D-Nグラフェントランジスタを作製し、各ゲート電圧における2Kから200Kの領域の電気伝導の測定を実施した。3Dグラフェントランジスタの測定からは、特にディラック中性点領域で、その他の領域とは異なる電気伝導度の温度依存性と磁場依存性を観測した。3D-Nグラフェントランジスタの測定からは、非周期曲面への窒素部分置換において期待される不均一なドーピングと高濃度置換領域における曲面の変形に由来したアーバックテール状態の形成により、グラフェンの金属的なチャネルと局在準位が共存した特異な電子状態が実現することが明らかになった。この電子状態は、触媒反応に使用できる局在した電子が大面積の3Dグラフェン上に広く分布しており、これらの領域に、金属的な伝導チャネルを介して継続的に電子を供給できることから、大面積の3Dグラフェン表面を舞台とした触媒電極・触媒担体の開発に非常に有利な電子状態が実現していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、3Dグラフェントランジスタの低温電気伝導測定を行うことから、サーマルサイクルに対して安定に動作するデバイスの創出が計画実現のカギとなる。本年度デバイス構造の最適化を行った結果、これを達成することができ、実際に、3Dグラフェンと3D-Nグラフェントランジスタの低温電気伝導測定から、グラフェン曲面由来の新奇な電子状態に由来するユニークな電気伝導物性を観測することができた。したがって、次年度以降の計画を遂行することで研究目的を達成可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、本年度の測定を、25-50nm,500-1000nmの曲率半径の異なる2種類の試料に拡張する。さらに、グローブボックス用のガス循環精製装置を導入して、3Dグラフェントランジスタの曲げ・ひずみ特性を明らかにする。
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