研究課題/領域番号 |
22K04868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
沖本 治哉 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 助教 (20510168)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | グラフェン / バイポーラ電気化学 / 化学修飾グラフェン / 電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
グラフェンは2次元原子層炭素材料であり、不活性表面に機能を発現させるためには化学修飾法が重要である。例えば表面に対して位置制御的な化学修飾を行うことができれば複数の機能表面を持ったグラフェンや特異なエッチング加工が可能になる。近年、導電体に対して非接触に電気化学反応を行うバイポーラ電気化学が注目されている。本研究では、バイポーラ電気化学の概念をグラフェンに利用し、グラフェン表面で位置選択的な化学修飾方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
炭素原子数個の厚さを持つ2次元物質であるグラフェンは、その不活性な表面を機能化するために様々な科学修飾が必要である。特に非対称に化学修飾したヤヌスグラフェンや位置選択的に化学修飾することで特異な性質を発現することが期待できるため、簡便な位置選択的化学修飾法が必要である。従来の位置選択的な化学修飾は、グラフェンにマスクパターンを利用して反応範囲を狭めることで実現することが多かったが、本研究では、バイポーラ電気化学の反応を利用して、酸化的修飾と還元的修飾をグラフェン表面に同時に行うことでグラフェン両端に異なる化学修飾する方法をマスクレスで確立することを目的とする。 令和5年度は、令和4年度に構築したバイポーラ電気化学装置を利用して、グラフェンや多層グラフェンに対して、還元的な修飾反応の検討と、副反応として生じる水の分解反応がグラファイトやグラフェンにどの程度の化学的ダメージ(剥離、酸化等)が生じるかについて検討した。還元的反応としてはジアゾニウム塩を用いた還元反応と金属微粒子の還元的析出反応が効果的であった。但し酸化側で炭素材料に良く行われるアミンの修飾反応と共存させる場合は、修飾剤同士の直接反応を防ぐためにpH等の制御が必要であることが分かった。一方で、その修飾範囲や境界については、マスクを利用した化学修飾のように完全に酸化修飾と還元修飾の境界を明確にすることはなく、グラフェン両端からグラデーションのように、酸化修飾と還元修飾が同時に行われることが分かった。またグラフェンとして安価に作製可能な電気化学剥離グラフェンに対してもグラフェンと同様に酸化/還元同時修飾が行えることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイポーラ電気化学をグラフェン又はグラファイトに対して行った場合、印加電圧、濃度、溶媒条件によって、グラフェンにどのような電気化学反応がどの範囲で起こるかのおおよその知見を得た。これまでに、令和4年度にバイポーラ電気化学反応装置の製作、令和5年度にグラフェンやグラファイトに対する各種反応条件の影響の検討を経て、令和6年度はグラフェンに対する位置制御をより精密に行なうための反応条件の検討を進める予定である。一方で、多層グラフェンに対する酸化/還元同時修飾により、部分的に化学修飾されたグラフェンが剥離したことから、バイポーラ電気化学を利用した多修飾グラフェンの作製が可能かもしれないという新たな知見も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの研究結果をもとに、多層グラフェンや単層グラフェンに対して還元/酸化同時修飾を行ない、グラフェン表面へ位置選択的に2種類の異なる化学修飾を行なう技術を確立する。特にグラフェン面内の反応範囲、各反応の反応量の制御に重点を置きつつ、①電圧制御によるグラフェン反応範囲の制御、②電位反転を利用したグラフェン両端への金属微粒子析出による金属電極形成、③グラフェンの形状や酸化度が本反応に与える影響の解明をおこなっていく予定である。
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