研究課題/領域番号 |
22K04884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
橋本 修一 群馬工業高等専門学校, 専攻科, 特命教授 (70208445)
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研究分担者 |
山路 稔 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (20220361)
橋本 千尋 東京工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90368465)
宇和田 貴之 城西大学, 理学部, 准教授 (30455448)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | レーザー加熱 / 水滴 / ラマンスペクトル / 相転移 / 熱伝導 / 過冷却水 / 貴金属ナノ粒子 / プラズモン加熱 / 温度分布 / レーザー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、単一貴金属ナノ粒子にレーザー照射した場合に周囲に形成されることが期待される非等方的な温度分布に基づく熱化学反応を実験的に観測し、その機作を解明することである。非等方的温度分布は、単一貴金属ナノ粒子がプラズモン加熱されたとき、粒子から周囲に向かって温度勾配ができることに由来し、粒子を保持する基板の熱伝導率にも大きく影響される。本研究では、粒子周囲の水の融解のような相変化を調べることによって周囲の温度分布を明らかにする。そして、加熱に伴う溶液中でのコロイド粒子の運動から対流の非等方性を示す。更に、光照射で熱化学反応の駆動を行って熱的非等方性の影響を明らかにする研究である。
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研究実績の概要 |
本研究では、従来、貴金属ナノ粒子の光熱変換の実験的研究がバルクスケールに限られていたため、マイクロスケールの限られた空間での熱伝導の距離依存性に関する実像が明らかでなかった点を克服することを目的とする。 このため、単一金ナノ粒子を内包する単一水滴を作製し、レーザー加熱による固相から液相への相転移を観測するための実験系の作製を行った。基板上に固定された水滴と空気中にレーザーで捕捉された水滴の両者を比較することをめざした。初年度において、水滴の温度コントロールを行うための顕微鏡用の冷却チャンバーを作製した。 本年度は、基板上の水滴を凍結した状態で近赤外レーザー光を集光照射し氷粒子の融解をラマンスペクトルおよび画像から観測することに成功した。これによって、従来バルクの氷では熱移動のため水の加熱が有効に行われないが、マイクロスケールの氷粒子の場合、氷/空気界面の熱伝導率の著しい低下のために界面での熱移動の速度が著しく阻害され氷が有効に加熱されるという仮説が実証された。この実験過程で、加熱により融解と気化が同時に起こることも観測した。 今後の課題としては、レーザー加熱ではなく金ナノ粒子を加熱することによりさらに効率のよい氷の加熱ができるか調べること、基板上の氷粒子だけでなく空中浮揚の氷粒子を用いて氷/空気界面での熱伝導をさらに抑えることが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
凍結した水滴、すなわち、マイクロサイズの氷粒子のレーザー加熱により過冷却液体の観測に関して2回の学会発表および論文発表し、実績とすることができた。熱流体シミュレーションにより水滴をレーザー加熱した場合の実験条件での温度分布のシミュレーションをおこない、水の融解温度を超える温度となるというサポートデータも得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の途上で、氷マイクロ粒子から過冷却液体への相転移に加えてレーザー照射により氷内部に過冷却液体が生成し-10~-20℃において持続的に存在し続ける新規な現象を観測した。よって、これについて詳しく調べるとともに学会発表および論文発表を目指す。
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