研究課題/領域番号 |
22K04886
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 雄太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90392620)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ナノ構造 / ナノチューブ / 層状物質 / 電子顕微鏡 / 電子分光 / 透過電子顕微鏡 / ヘテロ構造 / 低次元物質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、異なるナノ物質の接合や積層により生じる一次元や二次元のヘテロ構造を対象として、低加速透過電子顕微鏡および高精度電子分光により、個々の構成原子の可視化ならびに電子状態の解明のための分析技術を確立する。原子膜物質に生じた面内ヘテロ接合における局所的原子配置や、各層が異なる物質で構成された多層原子膜や多層ナノチューブなどのファンデルワールス(vdW)ヘテロ構造の原子レベル構造評価に取り組み、これらの低次元ヘテロ構造がもたらす電子特性等の物性発現のメカニズムを検証する。安定な試料支持法や電子線ダメージのさらなる低減の方策に関する検討も進め、より広範な物質の原子レベル構造評価への展開を図る。
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研究実績の概要 |
本研究は、ナノチューブや原子膜など一次元や二次元のナノ物質の複合化によって作製される低次元ヘテロ構造を対象として、これらを構成する個々の原子を可視化すると同時に、その元素や電子状態を特定するための分析技術の確立を目的としている。具体的には、原子膜物質に生じた面内ヘテロ接合における局所的原子配置や、各層が異なる物質で構成された多層原子膜や多層ナノチューブなどのファンデルワールス(vdW)ヘテロ構造について、低加速(走査型)透過電子顕微鏡((S)TEM)による原子レベル構造評価に取り組む。また高精度の電子エネルギー損失分光(EELS)分析により、低次元ヘテロ構造がもたらす電子特性や光特性などの物性変調のメカニズムの解明を目指す。 実施初年度である令和四年度は、低加速STEM-EELSによる二次元ナノ物質のヘテロ構造の原子レベル構造評価に着手した。具体的には、層状構造を有する遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)の代表例である二硫化モリブデン(MoS2)を金属ポルフィリン分子で修飾した複合ナノ構造を対象として、ポルフィリン分子に担持された金属単原子(コバルト、鉄、マンガン)の可視化と元素識別に取り組んだ。これらのヘテロ構造体に担持された金属単原子は電気化学的酸素還元反応(ORR)における触媒として作用することが確認されたため、低加速STEM-EELSにより実際に観察された原子レベル構造に基づき、金属単原子の存在部位とその触媒特性との相関を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前記の通り本研究課題では、二次元ヘテロ構造を有する複合ナノ物質に対する低加速STEM-EELS分析に着手しており、原子レベル構造と単原子触媒機能との相関を検証するなど知見を集積しつつある。既にここで得られた成果の一部は論文として公表されている。一方、これら一連の観察実験に必要な装置や試薬などの物品等に関しても、本課題の予算によって概ね計画通りに導入され、本研究の遂行のために活用されている。以上の状況を踏まえて、本研究課題は現在まで概ね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
実施二年目となる令和五年度も、引き続き低加速(S)TEM-EELSによる低次元ヘテロ構造の原子レベル構造評価を目的として研究を推進する。とくに本年度は各層が異なる元素や化合物で構成された多層ナノチューブ試料を対象とする分析にも着手し、一次元のvdWヘテロ構造体であるこれらの物質の原子レベル構造と物性との相関について検証を進める予定である。
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