研究課題/領域番号 |
22K04893
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
横田 一道 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50633179)
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研究分担者 |
田部井 陽介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40555083)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ポアデバイス / 1細胞 / 細胞計測 / マイクロ流路 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノ・マイクロスケールの貫通孔(ポア)をもつポアデバイスではポアを流れるイオン電流を計測し、1細胞通過時に観測されるパルス状電流阻害の高さや幅から1細胞のサイズや表面電荷を次々に評価できる。本研究ではポアデバイスを発展させた、多段ポアデバイスを開発し、1細胞のサイズ、変形性、弾性、粘性、表面電荷などの複数物性値の同時計測を可能にする。更に、有限要素法シミュレーション結果との比較から、1細胞物性の絶対値による値付けを目指す。この手法用いて、物性値変化による細胞の状態や機能の評価、具体的には細胞死の様式判別が可能かを検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、昨年度実施したポアデバイスの設計最適化および原理実証の結果をもとに作製したポアデバイスを用いて、1細胞物性計測について、昨年度検討した血球細胞を対象とした計測を実施した。一般的な株化細胞を対象とせず、血球細胞を計測対象として優先した理由として、ポアデバイスによって計測可能な血球細胞の1細胞物性と特定の疾患との関連が予想でき、基礎研究のみならず医療・診断への応用といった出口戦略も期待できたためである。 応用を見据えた展開のために、本成果をもとにした知財を取得するとともに、知財強化のための追加実験を実施した。また、本研究成果・知財を基礎とした医療機関との連携を行い、患者血液サンプルを作製したポアデバイスによって計測し、健常人のものとの比較を行った。ポアデバイス計測によって得られた血球細胞の1細胞通過波形を解析した結果、特定のパラメーターにおいて患者血液と健常人血液に有意な差が見られた。また、得られた1細胞通過波形について、昨年度実施した有限要素法による1細胞通過波形シミュレーションのとの比較、検討を行った結果、ポアデバイスによって測定可能な1細胞物性値が、特定の疾患と関連した臨床データと相関している可能性が示唆された。今後、他の臨床データとの比較や、パラメーターを変えたシミュレーションを加えることにより、本手法の物理的背景と臨床的初見との相関について明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ポアデバイスの1細胞物性計測について、原理実証といった基礎的知見に加えて医療・診断技術への応用を見据えた知財取得や医療機関との連携を図れたことは、本研究の当初の目的を越えた大きな成果である。一方で、その実験の実施には、所内規程に基づき医工学応用実験に関する申請手続きが必要であり、そのために当初予定していなかった医療機関と連携しての倫理審査等を行ったため時間を要した。以上の理由より現在までの進捗状況としてやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度構築した医療機関との連携は引き続き継続し、血球細胞の1細胞物性計測による疾患との相関をより詳細に調べるために、ポアデバイスによって計測される1細胞通過波形の解析手法を高度化するとともに、他の臨床データとの比較を行う。これによって本研究成果の医療・診断技術への応用を目指す。また得られたデータと、より詳細なパラメーターを考慮した有限要素法シミュレーション結果とを比較することで、計測結果の物理的背景といった学術的、基礎的な知見を得るとともに、そこから臨床的初見や生物学的現象の理解に繋げていく。
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