研究課題/領域番号 |
22K04912
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小鍋 哲 法政大学, 生命科学部, 准教授 (40535506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 熱放射 / ワイル半金属 / フェルミアーク / 非相反性 / キルヒホフッフの法則 / トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
熱放射に関するキルヒホッフ則(=熱平衡にある物体の吸収率と放射率は等しい)は、プランク則に並び熱平衡にある物体が満たすべき最も普遍的な物理法則であり、放射エネルギー変換効率の理論限界を与える。キルヒホッフ則を破ることができれば、これまでにない高効率な光起電力発電や光・熱エネルギーハーベスティングが可能となる。本研究は、従来物質では困難であったキルヒホッフ則の破れた熱放射(=非相反熱放射)が、Weyl半金属系物質などのトポロジカルな性質を利用すれば実現できることに注目し、トポロジカル効果による非相反熱放射の物理解明と最適な物質・デバイス設計指針の獲得を目指す。
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研究実績の概要 |
熱放射に関するキルヒホッフの法則(=熱平衡にある物体の吸収率と放射率は等しいという法則)は、プランクの熱放射則に並び熱平衡にある物体が熱放射を放つ際に満たすべき最も普遍的な物理法則であり、熱放射エネルギーの変換効率限界を決める。例えば、今日実用化されている太陽電池には、ショックレー・クワイサー(SQ)限界と呼ばれる電力変換効率の理論限界が存在するが、SQ限界を与えるエネルギー損失の主要原因の1つが、キルヒホッフの法則である。したがって、キルヒホッフの法則を破ることが可能になれば、太陽電池変換効率の飛躍的な増大につながるなど、これまでにない高効率な光起電力発電や光・熱エネルギーの利用が可能になる。本研究では、トポロジカル物質におけるキルヒホッフの法則が破れた熱放射、すなわち非相反熱放射を理論的に解明し、最も非相反性が大きくなる物質の探索や条件を明らかにすることを目的とする。本年度は、トポロジカル物質の1つである磁性ワイル半金属に注目し、その非相反性熱放射の解明に取り組んだ。先行研究により表面プラズモンによる非相反熱放射については明らかにされているが、本研究では、ワイル半金属に特有の表面状態(フェルミアーク状態)の集団励起であるフェルミアークプラズモンと非相反熱放射との関係について検討した。具体的には、物質表面の反射率を調べることで熱放射の非相反性を明らかにすることができるため、フェルミアークプラズモンの効果を適切に取り込み、ワイル半金属表面の反射率を計算する理論を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、非相反熱放射とワイル半金属の表面状態との関連を明らかにすることであった。特に、ワイル半金属の反射率を計算し、非相反性の大きさを明らかにすることである。この研究計画に対して、反射率を計算するための理論を構築することができた。本年度は、本研究課題を遂行する上で最も重要な理論ができあがったので、進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ワイル半金属の非相反熱放射が最も顕著になる状況を明らかにし、その結果をまとめて発表する。さらに、本年度の研究計画を実行する過程で、当該研究課題に関連する当初予定していなかったいくつかの新しい知見と方向性が得られたため、そちらについても研究を進めたい。
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