研究課題/領域番号 |
22K04917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 憲慈 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10732985)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 単分子 / 単原子 / グラフェン / スパッタリング / 電子顕微鏡 / 収差補正透過型原子顕微鏡 / 金属酸化物単原子 / 単原子分散 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では単原子スパッタリング法を応用し、金属酸化物の単分子分散体を作製し、収差補正透過型電子顕微鏡による原子分解能イメージングと第一原理計算により原子配置と単分子特有の電子状態を明らかにする。白金などの金属を微細化すると良好な触媒材料になることはよく知られている。触媒活性のある金属酸化物材料は多いが、単分子単位まで微細化した材料を実現した例はなく、単分子の分散体を作成することでさらに高性能な触媒材料の開発が期待できる。また金属単原子との複合体を作製し新たな触媒材料の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題ではスパッタリング法によりセラミック材料の単分子分散体をグラフェン上に形成した試料を収差補正透過型電子顕微鏡(TEM)により原子分解能イメージングを行い、単分子特有の電子状態を明らかにすることが目的である。酸化物をスパッタリング可能な交流電源を備えたRFスパッタリング装置を使用し、TiO2の単分子分散体の作製と電子状態観測をめざした。今年度、TiO2をグラフェン上にスパッタリングしたサンプルを使用して収差補正STEMによる観察を行った結果Ti単原子由来のコントラストが得られ、Tiが単原子単位でスパッタリングされていることを示した。Ti周辺の元素分析を行ったが、酸素の存在は確認できず酸化物として存在しているかを明らかにすることが今後の課題である。X線光電子分光(XPS)測定からはTiO2単結晶とは異なるTiの電子状態であることが示されているので、TiO2が単分子化したことによるものであるかどうかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スパッタリングの条件最適化を進め、RFスパッタリングによってTiの単原子を分散させることに成功した。電子顕微鏡での観察中にTi単原子がグラフェン表面を移動することによってEELS、EDXに元素分析がうまくいかず、Ti周辺の酸素を検出することができなかった。最終年度はスパッタリングしたTiが酸化物として存在しているのか、どのように結合しているのか、バルクとの違いは何なのかを明らかにすることが目標である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題は大きく2つ有り、①スパッタリングした際のTi単原子率の向上②Ti単原子の結合状態の同定、である。①に関して、Ptのスパッタリングでは単原子率99%でグラフェン上にPt単原子を分散することができているが、TiO2をターゲットにしてRFスパッタリングした場合の単原子率の概算は15%程度にとどまっている。単原子特有の触媒反応等を明らかにするためには単原子率が高い方が望ましいため、スパッタリング条件の最適化を進め、単原子率の向上を目指す。②に関して、Tiが金属原子としてスパッタリングされているか、酸素と結合したまま酸化物としてスパッタリングされていることを明らかにすることは本研究課題の目的を達成する非常に重要な課題である。酸素の検出は電子顕微鏡による分光分析を用いるが測定中の表面拡散によって分光分析が難しくなっているので、下地のグラフェンの制御、測定条件の最適化、加熱ステージの使用等により、目的の達成を目指す。
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