研究課題/領域番号 |
22K04926
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
武田 さくら 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30314537)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 半導体 / 空間電荷層 / 電子状態 / 光電子分光 / カソードルミネッセンス / p型反転層 / 角度分解光電子分光 / 発光分光 / Si(111) / Si(001) / 量子化 |
研究開始時の研究の概要 |
IV族半導体の表面・界面から10 nm程度の表面直下領域に存在する電子は、表面ポテンシャルや侵入ポテンシャルの影響を受け、半導体内部とは異なる状態を持つ。本研究では表面直下領域の電子の状態を角度分解光電子分光と電子励起発光(カソードルミネッセンス)を用いて包括的に解明する。これにより、IV族半導体の表面直下の電子状態に関する物理モデルを構築し、デバイス動作予測に有用な指針を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、半導体デバイス動作で重要な役割を果たす半導体表面直下領域に着目し、この領域に存在する特殊な電子状態を明らかにし、正確な物理モデルを構築することを目的とした研究を行っている。 本年度は、レーザーを励起光に用いた時間分解2光子光電子分光を用い、シリコン表面直下の価電子閉じ込め型空間電荷層について、ポンプ光を照射し生成される光起電力によってバンド湾曲曲線を変化させた場合の、空間電荷層内の量子化電子状態の変化及びその時間変化の観測に成功した。また、サブバンドの光電子強度の入射光偏光性を測定し、サブバンドを原子軌道成分ごとに分けるために必要なデータを得ることに成功した。 発光分光については、電子線低視射角条件での微弱発光を測定するための、レンズー光ファイバ系を開発し、それまで測定できなかった低視射角条件でのカソードルミネッセンスを測定することに成功した。 更に、サブバンドが形成されている空間電荷層中に存在するバンド湾曲ポテンシャルを、実測したサブバンドの離散エネルギー準位を用いて、有効質量近似の範囲で数値計算を行い、推定する手法の構築を進めた。これは、実験で得たシュレディンガー方程式Hψ=Eψの固有値Eを実験で求め、得られたEを使ってハミルトニアン中のポテンシャル項Vを推定することに対応する。バンド湾曲ポテンシャルに閉じ込められた電子の離散エネルギー準位は解析的に得ることができない。固有値EからポテンシャルVを求めるには探索的に求める必要がある。本年度は特にポテンシャル曲線を表現する試行関数の選定と、探索方法の選定を行い、リーズナブルな時間で探索を行うことができる手法を編み出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サブバンドの軌道成分を調べるための、ARPESの入射光偏光依存性の測定の実施は計画通りである。2光子光電子分光の時間分解のデータを得られたことは計画以上の進展である。 実測サブバンド準位からバンド湾曲ポテンシャルを探索する手法を編み出せたことも、計画以上の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
実測したサブバンド準位から、ポテンシャル曲線を推定する手法の開発を進める。また本手法を用いて、光起電力によるバンド湾曲ポテンシャルの変化を、時間分解光電子分光で得られたサブバンドのエネルギー準位を用いて推定する。
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