研究課題/領域番号 |
22K04930
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
鈴木 哲 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (00393744)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SEM / エマルション / サーフェスバブル / ナノバブル / マイクロバブル / X線吸収分光 / X線発光分光 / 光電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
物質による吸収が大きい軟X線では、水中に埋もれたマイクロバブル、ナノバブルの観測自体が容易ではないため、手法に応じた適切な液体セルを開発する。吸収分光、発光分光などの軟X線分光によりマイクロバブル、ナノバブルのガス成分の観測を試みる。光電子顕微鏡や顕微X線吸収分光では、個々のマイクロバブルの観測に挑戦する。電子顕微鏡中でその場作製したバブルはその組成も未だ明らかではないためその組成分析を行う。更にバブルと水との界面の電子状態の観測にも挑戦する。
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研究実績の概要 |
試料の観察に不可欠な走査電子顕微鏡が故障していたが、本助成金により修理を行うことができた。またしばしば不具合を生じていた制御用パソコンのアップグレードを行うことができた。 通常のイオンビームに代えて、ガスクラスターイオンビームを用いてSiN膜をエッチングすることによって耐圧性を損じることなく薄膜化できることを明らかにした。アルゴンイオンビームでエッチングした3 nm厚のSiN膜は1気圧以下の保持力であったのに対し、酸素ガスクラスターイオンビームでは2 nm厚で3気圧以上の保持力を有していた。 SiN膜に単原子層グラフェンを担持することにより、光電子顕微鏡観察中のチャージアップを防げることがわかった。この液体セルに封入した水試料の紫外線および軟X線光電子顕微鏡観察を行った。酸素K吸収端領域において、水の吸収によると思われるコントラストを観測することができた。また光電子分光を準大気圧中で行うと、光電子のガス中での散乱により発生する二次電子によりチャージアップが緩和されることがわかった。更に、試料とアパーチャーコーン間の距離を大きくすることにより二次電子の発生をより活性化でき、低いガス圧でもチャージアップをほぼ完全に解消できることが明らかとなった。 また水にオレイン酸を混ぜたエマルションの電子顕微鏡観察とエネルギー分散X線分析を行った。電子透過窓を通してではあるが、サブミクロンスケールのエマルションも明瞭に観測することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光電子顕微鏡用の液体セルの電子透過窓を低エネルギー電子が透過するように十分薄くすし、かつチャージアップを防ぐために導電性を確保することが困難であった。また試料の観察に必要な電子顕微鏡の故障もあり、やや遅れを生じた。しかし数nm厚のSiN膜に単原子層グラフェンを担持することで問題を解決できる見通しを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
アンモニアボランの溶液と銅粉や銅箔が接触すると、銅の触媒反応によってマイクロバブルを発生できることを発見した。この手法は今までの電子照射によるバブル生成法と比較して、より確実にバブルを発生できることがわかった。今後はこの手法も取り入れてナノバブル、マイクロバブルの研究を進める。 光電子分光測定中の試料のチャージアップに関しては、グラフェンの担持の他、準大気圧中で測定を行うことも極めて有効であることが明らかになったため、この手法の利用も積極的に検討していく。
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