研究課題/領域番号 |
22K04935
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
矢ヶ部 太郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, 主幹研究員 (80354364)
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研究分担者 |
村瀬 義治 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主任研究員 (10354193)
板倉 明子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, 特別研究員 (20343858)
宮内 直弥 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 主任エンジニア (70451416)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 水素顕微鏡 / 透過拡散 / 表面科学 / 構造 / 透過 / 吸蔵 / 吸着 / 水素透過 / 拡散 / ドメイン構造 |
研究開始時の研究の概要 |
我々が独自開発したオペランド水素顕微鏡は、水素の局所透過状態を実時間で観測することを可能にした。本装置によりマクロなスケールで理解されてきた水素透過材料をミクロなスケールで理解可能となると考える。特に水素が良く透過すると知られている一部の合金系水素透過材料においては結晶構造が単一でないために起こっていると考えられており、ミクロなスケールでの水素透過の情報を知ることは材料設計の指針にもなり得ると考えられる。このような材料を、従来の合金板の利用の他、コンビナトリアル法などと組み合わせ明らかにしていきたい。
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研究実績の概要 |
本研究課題はサンプル中のドメイン構造と水素拡散による透過現象を明らかにするために、オペランド水素顕微鏡など表面水素マッピング可能な手法により明らかにすることを目標として研究を行っている。初年度にサンプルのマクロな構造及び物性を示唆操作熱量計(DSC)およびX線回折による評価方法を用いることにより、熱処理条件、合金比を変数としてマクロスコピックな手法から相構造を調べた。2年目となる本年度において電子後方散乱回折法(EBSD)を用いて、ミクロな相構造を調べた。さらにオペランド水素顕微鏡において観測を行っているところである。初期の結果としてはミクロ構造と水素透過像に強い相関を見いだせていない。この結果が意味するところが、特定の合金には水素の経路について構造との相関が大きくないためなのか、電子ドーズ量などの観測条件により、観測できていないのかを検討しているところであり、他の実験を重ねて研究発表を行いたいと考えている。 水素の透過像だけではなく、水素透過量をサンプルを移動することなく評価できるシステムを本報告年度に追加した。具体的には四重極型質量分析計(QMS)の導入および水素導入チャンバーの改造を行い水素透過量および拡散係数を測定できることとした。オペランド水素顕微鏡はベース真空度が非常に良いため、一般的に利用される水素透過装置より、比較的低温、低水素圧力でも透過量を測定可能である特徴を持つ。 また、関連する水素研究として吸着を経た吸蔵モデルの研究をレビュー論文として出版し、また、オペランド水素顕微鏡により水素および重水素の透過から同位体効果を見出した結果などをまとめた論文を発表した。その他、並行して他材料の水素透過、表面水素観測の実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の結果としてのサンプルの水素像は出てきているが、予想される水素像とミクロ構造の関係がまだ解釈できていない。これが電子ドーズ量などを最適化することで、変化するものなのか?または、これを自然な結果として受け入れてよいのかなどの詳しい検討が必要である。また、水素透過として様々な材料を観測しておりいくつかの論文などの成果が出てきているため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
実験結果を多面的に評価するため、オペランド水素顕微鏡に水素透過量および拡散係数を計測できるシステムを追加し、計測を行い始めている。本装置はベースとなる真空度が極めて高いため、比較的低温(100~200℃)低圧力(100~1000Pa)での評価が可能である。一般的な水素透過の実験において300℃~800℃といった温度範囲が測定対象となることが多いが、水素透過材料はエネルギー収支や安全な利用条件を求められることから、低温での水素透過材料開発の需要がある。これらの領域での測定を行うことで水素透過材料の発展に寄与したいと考えている。
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